2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の純愛史 11 『ノルウェイの森』と純愛論争 -80年代(2)

テレビドラマでは九十年代に純愛ものが続々と出てくるがその数年前、小説の「純愛物語」があった。八十七年バブルの絶頂期に出てベストセラーとなった、村上春樹の『ノルウェイの森』である。 帯の文句は「限りのない喪失と再生 今いちばん激しい一〇〇パー…

日本の純愛史 10 反純愛としてのバブル期「トレンディドラマ」-80年代(1)

八十年代のテレビでは、恋愛ドラマが復活する。その最初の話題作は八十三年放映の『金曜日の妻たちへ』(古谷一行、いしだあゆみ、竜雷太、小川知子、泉谷しげる、佐藤友美、石田えり)。 東急田園都市線沿線のニュータウンを舞台に、三つの核家族の交流と夫…

日本の純愛史 9 純愛の挫折 -70年代(2)

七十年代のテレビドラマではホームドラマと学園青春ものが全盛となり、いわゆる純愛ものは映画でもドラマでも次第に廃れていく。 二人だけの世界から、おうちや学校に復帰しよう。純愛ってちょっと重過ぎるし、雪山で心中なんて暗過ぎるし‥‥。まだテレビが一…

「HN:素朴な疑問」の人の「タネあかし。」について

これについて言及すること自体、「釣り」にますます乗ることになるという見方もあろうが、自分のスタンスをはっきりさせるいい機会なので、遅ればせながら書いておこうと思う。 個人的にはこちら(11/20追記:旧ブログのコメント欄は復元できませんでした)…

日本の純愛史 8 純愛の挫折 -70年代(1)

六十年代の終わり頃から悲劇的な要素の強くなった日本の純愛映画は、七十年代の半ばで下火になる。七十年代は現実のドラマとして純愛を描くことが、だんだん難しくなっていった時代である。 その七十年代初頭の純愛映画の女王と言えば、ストレートロングヘア…

日本の純愛史 7 乙女の恋と富島青春小説 -50〜60年代

純愛ものを好んだのは主に女性。これは当時隆盛した少女雑誌に、純愛的恋愛小説が掲載されたことにも窺える。 少年向けの雑誌に、純愛ものが載ることはあり得ない。そこにあるのは探偵小説や冒険小説(あるいはその種のマンガ)だ。 つまり、女の子は恋をし…