2015-01-01から1年間の記事一覧

父の呪い、母の背中

これまでの著作も読んでいて、今回の本を読んだ友人に言われたこと。「お父さんの話はよく出てくるけど、お母さんの話はないね。ちょっと不自然なくらいない。何故?」。言われてみるとそうなのだ。私は「父の娘」だから、というだけなのか。これもちょっと…

Twitter始めました。

https://twitter.com/anatatachi_ohno 個人のではなく、書籍『あなたたちはあちら、わたしはこちら』に特化したものです。 編集部による公式サイトの更新情報や本の反応のRT、著者の呟きなど。 どうぞよろしくお願い致します。 ●12/16追記 Twitterやばい。ど…

『電信柱エレミの恋』と『ローマの休日』、欲望と責任の問題

今期から京都造形芸術大学のアート・プロデュース学科の学生対象に、「観る・読み解く・書く」というテーマの講義をやっている。この数週間は、中田秀人監督の短編ストップモーションアニメ『オートマミー』(2000)と、同監督の中編『電信柱エレミの恋』(2…

新刊の特設ページで試し読みができます。

新刊『あなたたちはあちら、わたしはこちら』の特設ページができました。 あなたたちはあちら、わたしはこちら - 大野左紀子/大洋図書 内容紹介や口絵、著者情報の他、試し読みのページ(Sample)、ご意見、ご感想のページ(Contact)があります。 試し読み…

『あなたたちはあちら、わたしはこちら』刊行のお知らせ

2006年に初めての本を出してから5冊目の単著になる映画エッセイ『あなたたちはあちら、わたしはこちら』が、大洋図書から刊行されます。 30代後半から80歳過ぎまで、中年以上の女性が主人公となっている映画12本を取り上げ、その心情を掘り下げて考察したも…

田んぼに落ちた青い靴

はてなブックマーク-「酒を飲み過ぎて記憶がない」という人間を信用できない - 今日はヒトデ祭りだぞ! エントリーページのいろいろなコメントが面白い。 お酒を飲み始めて数十年、途中からすっかり記憶がなかったのが2回、ところどころ飛んで覚えてないと…

原節子についてのあれこれ

原節子が95歳で亡くなったというニュースが報じられた一昨日、ちょうど読んでいたのが、小津安二郎の『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』の中の原節子に言及されたところだったので、偶然とは言え驚いた。正確には『映画狂時代』(壇ふみ編、新潮文庫…

『超絶技巧!明治工芸の粋』に肝を潰す

先日、岐阜県立現代陶芸美術館で開催中の『超絶技巧!明治工芸の粋』を観に行った。 明治工芸と聞いてもあまりイメージの浮ばない方は、下のリンク先を。 岐阜県立現代陶芸美術館 展覧会情報01 左上の「パイナップル、バナナ」、中段中の「竹の子、梅」は実…

「漢字にルビをどこまで振るか」問題

ここのところずっと来月出る自著の校正をしていたのだが、一番悩んだのは、漢字のルビをどうするかという問題だ。 元のテキストはウェブ連載だったこともあって、ルビはない。もともとそれほど難解な漢字は使わないし、聞いたことがないような熟語も使ってい…

週末の出来事、さまざまな再会

名古屋芸大に非常勤で行くようになってまだ1、2年の頃、Kさんは当時私がもっていた現代美術演習の授業に顔を出したことのあるデザイン科の学生だった。それから数年してT先生のゼミでKさんと一緒になり、人となりを知るようになった。ナンシー関的なツッコ…

アクション・コメディ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

マッドマックスシリーズはだいたい血と砂と鉄とスピードを味わう映画だと思っているのだけど、「怒りのデス・ロード」はそれが今まで以上のスケールとハイテンションで描かれあらゆるシーンが決まり過ぎなほど美しく決まり(オレンジと青が目に焼きつく。あ…

『ソフィ・カル –––– 最後のとき/最初のとき』を見て

ソフィ・カルがまた豊田市美術館で見られると知った時から、ずっと楽しみにしていた。 前回見たのは12年前の2003年。カルが一年に渡って23人の盲目の人たちにインタビューを行った上で制作した、<盲目の人々>という写真とテキストを組み合わせたシリーズ作…

「おばさんになれば”なるほど”」最終回です。

今年1月からサイゾーウーマンに連載してきました「おばさんになれば”なるほど”」、第十回の最終回がアップされています。 「おばさん」になるのは案外悪くない。中年の50代女性が得るもの、手放すものの豊かさ 「愛情をどこにどう向けるか」(広い意味での…

凡人の文章は長く、才人の文章は短い

ラインの着信音で目が覚めた。新潟に単身赴任二年目の夫から。 「お前のブログも書くことが無くなってペースが落ちたな。内容も偏ってきたし、やっぱり俺がおらんとネタがないか?」 イラッ! このイラッ!は二つあって、一つは「そんなことわざわざ言うため…

きものと頭痛

きものを買い過ぎてお金がなくなり頭が痛い、という話ではないです。涼しくなってきものを着やすい季節になってきたのは嬉しいが、頭痛に悩まされているという日常雑記。 昨秋、偏頭痛と肩凝りが酷くなり、神経内科で頸椎の椎間板ヘルニアと診断されたので、…

「福山ショック」から思い出した「泥足にがえもん」への恋

「福山雅治が結婚したので、帰ります」 女性たちの福山ショック【20選】 人気の凄まじさを再認識しつつ、16、7年前、仕事先の大学の男子学生と話していて「ところで福山雅治ってそんなに人気あるの?」(←世間知らず)と言ったら即座に、「何言ってんですか…

元祖・黒髪白シャツ男

漫画家の東村アキコがネットに発表している『ヒモザイル』が話題になっている。アシスタントへのセクハラ、パワハラとの批判も出ているが、ここで書きたいのはそういうことの是非ではなく、第二回で登場する「これが大人の女が好む「抜け感男子」だ!!!」とい…

「おばさんになれば“なるほど”」、第九回がアップされています。

サイゾーウーマンに連載中のエッセイ、今回のテーマは「ビッグマミィな人」です。 東京志向・自己実現から離れて――地方都市の“ビッグマミィ”な中年女性の眩しい姿 地方都市に生きる中年女性の8つのタイプを取り上げるこの連載は、クリエイティヴな人、ロハ…

きもの男子

久しぶりに行った仕事先の名古屋芸大で、きものを着ている男子を見かけた。 (駐車場から出る時にちらっと見ただけなので、足元はよく覚えてない。‥‥あ、皮は革と書くべきでした) 数年前も、いつもきものを着ている男子を、美術・デザイン学部の方で時々見…

『Journalism』9月号に寄稿しました。

11日発売の月刊誌『Journalism』9月号、読書特集なのですが、タイトルに思わず赤面してしまいました。ちょっと恥ずかしい。。。自分とのギャップが。 いろんな人がそれぞれの専門分野から、自らの読書体験に触れつつおすすめ書籍を挙げています。 最初、自…

「盗作さん」と言われた話

(※この記事は五輪エンブレム問題における佐野氏の責任に言及するものではありません) ohnosakiko デザイン, 社会 佐野氏の人柄とかこれまでの仕事などにあまり関心はないが、今回この件で「クリエイト」ということにたくさんの人が強い期待を抱いていてオ…

「おばさんになれば“なるほど”」、第八回がアップされています。

サイゾーウーマンに連載中のエッセイ、今回のテーマは「クロワッサンな人」です。 “ただのおばさん”を敬遠した「クロワッサン」症候群、中年女性の胸にくすぶる思い 『クロワッサン』という中年女性向けのマガジンハウスの雑誌はよく知られていますが、1970…

岩下志麻漬けの日

たまには日記を書いてみる。 7時に起きると雨だった。「散歩は雨が止んでからね」と犬に話しかける。ゆで卵とトマトとチリメンジャコのチーズトーストとコーヒーの朝食。 昨日一旦書き終えた原稿に手を入れていると、履物屋さんから電話。頼んでおいた下駄…

再掲『海とマリ ― 少女の思い出』(二十歳の時に戦争を体験した父の書いた話)

愛知県立旭丘高校の教員で童話部の顧問をしていた父が、1967年頃に生徒の求めに応じて部誌に投稿した短編。父はいくつかの少年少女向けの読み物を書いていたが、その中でも父自身の思い出と、幼い頃の私の記憶が重なった作品として、心に残っている。 この小…

夏にぴったりの薬膳カレー

一頃ほどではないがまだまだ暑くて、キッチンであまり長時間火を使いたくないので稲庭饂飩ばかり食べていて、さすがに飽きたなぁと思っていたら、親切な友人が自家製のカレーを冷凍してクール宅急便で送ってくれた。ありがたいことです。 本人の了解を得て、…

インターハイ女子バスケ初観戦記

外に出るとバターのように溶けてしまいそうな暑さですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 外飼いのうちのワンコも、日の高い間はさすがに家の中に入れてやっています。犬が溶けて虎のバターになったら悲しいですからね。 ● 先月末、インターハイ女子バスケ…

「おばさんになれば“なるほど”」、第七回がアップされています。

サイゾーウーマンに連載中のエッセイ、今回のテーマは「和な人」です。 「きもの」は、おばさんのなけなしのナルシシズムを慰める――「和」にハマる中年女性 一昔前まで、きもので出歩いている人と言えば、お茶や日舞のお稽古の人か、歌舞伎のお客か、小料理…

40年後の三人

台風が来て、ムシムシ暑くて、かと思えば今日は雨‥‥という変わりやすい天候の中で奇跡的に清々しく晴れた先日、高校時代の友人二人と日帰りで篠島に行った。 名鉄のフリー切符で「夏の篠島 はも&あわび(日帰り昼食8900円)」というのを利用。名鉄の最寄り…

「日本」で「おもてなし」で目立つ万人向きの制服は‥‥

ダサ過ぎ? 東京五輪「おもてなし制服」、ネットで酷評 私も一見して「これは‥‥なんだかな」と思ってしまい、こんなブコメをつけた。 ohnosakiko この帽子にベストはどっちか言うとスイスのイメージ。それを払拭するための過剰な日の丸。気合い入り過ぎ/い…

「童貞を殺す服」雑感

この数年、仕事先の地方の芸術大学でよく見かけるファッション。美術学部でも音楽学部でも見られる。 (微妙にデッサン狂ってる。左の人が多い印象) パステルカラーでパフスリーブのシフォンみたいなブラウス、薄くてヒラヒラしたミニスカート、長めフレア…