介護

四人の親が二人になったところで、改めて介護問題を考えたけど。

俺「あの、そちらの老人ホームに空きありませんか?」:キニ速 有料老人ホームより割安なために何年も入居順番待ちの特別養護老人ホーム、3Kで離職率が高く慢性的に人手不足の介護業界、そして親の在宅介護は独り身にとって地獄‥‥という話。 長女の私は一人…

「偉い男」ほど厄介なことになる

父が入居している有料老人ホームの、介護士の人に聞いた話である。 「施設に入って認知症が急速に進むのは、女性より男性です。その中でも多いのが、会社の社長さんとか学校の先生。社会的には「偉い立場」で、ずっとこれまで自分が指図する側で来た人ですね…

介護される犬、介護される人

犬 (1) かなり前から足腰が弱っていたうちの老犬16歳は、ほとんど自力で立ち上がることができなくなった。敷物が敷いてあってもいつのまにかずれていって、コンクリートで擦ってしまうのかあちこち擦り傷ができ、医者からもらった薬を塗っている。寝たま…

介護サービスを受ける人、受けない人

スーパーでたまに見かけるおばあさんがいた。 最初その人を見たのは夏だった。暑いのにボロボロになった長袖の上着を着て、首にもグレーの小さな襟巻きのようなものを巻いていた。近づいた時、それは襟巻きではなくその人自身の髪の毛で、長い間洗っていない…

介護とお金と幸せ

有料老人ホームに入居している父の見舞いから帰ってきた母が電話で、「相変わらず言葉はほとんど出ないし寝てばっかりだけど、お父さんは幸せだと思ったわ。あんな暖かくて快適なところできちんと食事をさせてもらって、体も髪も爪も歯もきれいにしてもらっ…

他人のシモの世話をすること

排泄は、プライバシーを厳重に確保した上で行いたい行為の一つだ。 排泄の直接の「原因」である食物摂取は、人と共に行うことに特に恥ずかしさを感じない、むしろ楽しかったりするのに、排泄が強い羞恥心と結び付いているのは、その器官と生殖器の位置が極め…

介護の勉強を始めた

今年に入って介護の勉強を始めた。当面はホームヘルパー2級の資格を取るのを目標にしている。 自分がそんなことを考えるようになるなど、1年前までは想像もしていなかった。老いや介護問題がいずれ自分の身に降り掛かってくることはわかっていたとは言え、…

言葉の抜け殻と紙の帽子

このところは毎週金曜日に、仕事の後で実家に寄って母をピックアップし、介護施設の父を訪ねるのが習慣になっている。 昨日、他の老人がテレビを見たり、クリスマスの飾り付けをスタッフの人と一緒に作っている食堂の中で、父は一人だけ離れたところで窓の方…

縮んでいく人

既に通い慣れたと言っていい感じになってきた老人介護施設の、父の入居しているフロアに上がり、この時間帯ならいるはずの食堂を覗くと、車椅子の父は見当たらなかった。部屋かな?と個室を覗いても、もぬけの殻。 おかしいなぁと食堂に戻りつつ、ふと今通り…

車椅子を押して

昨日、昼で終わった仕事の後、介護施設の父を見舞った。食堂のテレビのすぐ前に、車椅子に乗せられた父がいた。勝手に立とうとして転ばないようにシートベルトをされていた。声を掛けると、夢から醒めたような顔をして私を見、片手を上げた。 「今日は一人で…

父が施設に慣れるまで

老人養護(介護)施設に入った人がその環境に完全に慣れるまでに、平均して一ヶ月くらいかかるという。しかし8月半ばに入所した父はいまだに気分の波が激しく、いろいろ問題行動を起こしているようだ。 それというのも、入所して10日、少し慣れ始めた矢先に…

(追記)介護とお金と施設

介護ってもう心の底から考えたくない問題 - Togetter、入院2年、老親の2000万がなぜ底をついたか:PRESIDENT Online - プレジデントなどを読んで、自分の家のケースについて少し書いておきたい。 父に脳梗塞の後遺症のてんかん発作が頻繁に起こるようになり…

父と唱歌

介護付き有料老人ホームに入所して一週間になる父87歳を、先日の月曜日、初めて一人で訪ねた。実家の母はこれまでのバタバタが一段落ついたところで、疲れが出たのか熱を出して寝ている。夫が一緒に行く予定だったが、一人で行くことにした。一人で行きたい…

父との会話

入院中の父を夫と見舞いに行った。ちょうど昼食が終わったところで、父はベッドの上に起きていた。 「お父さん、気分どう?」 「‥‥‥ああ」 「お昼、全部食べた?」 「‥‥ここの食事は、おいしくない」 父は言葉がスムーズに出てこないようだった。目を瞑って…

「お母さんを、抱きしめたい!」と父は大声で言った

先日、父(87歳)は原因不明の激しい痙攣を起こし、意識不明となって救急車で運ばれた。救急車で搬送されるのは先月、先々月に続いて三度目だ。連絡を受けてようやく病院に駆けつけると、憔悴しきった顔の母(75歳)が入院の荷物を脇に、ポツンと廊下のベン…

老いるということ

15歳になる飼い犬がいる。飼い主の無知と怠慢で12歳の時フィラリアに罹ったが奇跡的に助かり、薬を飲みながら生き長らえてきた。雑種の中型犬。それがこの数年で、すっかり老犬臭くなった。人間にしたら80歳を超えているのだから当然だ。おまけに心臓が弱い。…