「外部」をめざす内在的絵画論 ––––『無くならない アートとデザインの間』を読んで

変わったタイトルである。「無くならない」が大きく表示されてタイトルっぽく、「アートとデザインの間」がサブタイトルの扱い。 帯には、「20世紀の思想だったデザインやカウンターとしてのアートがある使命を終えようとしている。」の文言。「はじめに」で…

『ゲンロン0 観光客の哲学』感想tweetセルフまとめ

読了直後でかなり散漫な内容だがメモとして。 tweetをそのまま埋め込むと読みづらいので、文章のみコピペ(https://twitter.com/anatatachi_ohnoより)。 いろんな意味でおそろしい本だった。内容要約はしてないので、以下は未読の人には何がなんだかです。 …

書評のお知らせ

2013年に出た『女の数だけ武器がある。たたかえ!ブス魂』(ペヤンヌマキ著)という本が、書き下ろしコラム5本に雨宮まみのテキストを加えて、この間文庫化されました。その書評を、WEBスナイパー(18禁サイト*1)に書いてます。 女の武器は言葉だ/『女の…

永遠のうさこちゃん

ディック・ブルーナさん死去 89歳「ミッフィー」作家 1959年生まれの私は「うさこちゃん」世代です。シリーズで初めて読んだ絵本は「うさこちゃんとうみ」。今は「ミッフィー」世代の姪のところにあります。 タオルケースはいつも講義の時、手を拭くハンドタ…

ちくさ正文館と喫茶モノコト

昨日、久しぶりに、ちくさ正文館に行った。 名古屋では有名な人文系老舗書店。昔、近くの河合塾美術研究所で働いていた頃、しょっちゅう通っていた。歴史・思想・哲学・芸術系が充実していて、棚を眺めているだけで楽しく、長時間入り浸っていた。知的刺激を…

雨宮まみさんについてのとても個人的な覚え書き

急逝されたのをネット上で知ってから鉛の塊を呑み込んだような気分になっているこの数日、関連の記事のブックマークやtwitterに断片的に書いていたことを、少しまとまった文章にしておきたいと思う。 1976年生まれの雨宮さんより私は一回り以上も上の世代で…

真魚八重子さんと対談しました。

先月出ました拙書『あなたたちはあちら、わたしはこちら』の公式サイトでの、対談企画第一弾。 お相手は、ネットで連載中から話題だった『映画系女子がゆく!』を一昨年出され、『映画秘宝』や『キネマ旬報』など多数の媒体でご活躍中の真魚八重子さんです。…

Twitter始めました。

https://twitter.com/anatatachi_ohno 個人のではなく、書籍『あなたたちはあちら、わたしはこちら』に特化したものです。 編集部による公式サイトの更新情報や本の反応のRT、著者の呟きなど。 どうぞよろしくお願い致します。 ●12/16追記 Twitterやばい。ど…

新刊の特設ページで試し読みができます。

新刊『あなたたちはあちら、わたしはこちら』の特設ページができました。 あなたたちはあちら、わたしはこちら - 大野左紀子/大洋図書 内容紹介や口絵、著者情報の他、試し読みのページ(Sample)、ご意見、ご感想のページ(Contact)があります。 試し読み…

『あなたたちはあちら、わたしはこちら』刊行のお知らせ

※12/10追記 特設ページができました。 あなたたちはあちら、わたしはこちら - 大野左紀子/大洋図書 2006年に初めての本を出してから5冊目の単著になる映画エッセイ『あなたたちはあちら、わたしはこちら』が、大洋図書から刊行されます。 30代後半から80歳…

「漢字にルビをどこまで振るか」問題

ここのところずっと来月出る自著の校正をしていたのだが、一番悩んだのは、漢字のルビをどうするかという問題だ。 元のテキストはウェブ連載だったこともあって、ルビはない。もともとそれほど難解な漢字は使わないし、聞いたことがないような熟語も使ってい…

「福山ショック」から思い出した「泥足にがえもん」への恋

「福山雅治が結婚したので、帰ります」 女性たちの福山ショック【20選】 人気の凄まじさを再認識しつつ、16、7年前、仕事先の大学の男子学生と話していて「ところで福山雅治ってそんなに人気あるの?」(←世間知らず)と言ったら即座に、「何言ってんですか…

あの「猫の刺繍のシャツ」が本に

以前この記事でもご紹介した刺繍アーティストのhirokoさんが、本を出されます。neko shirt ねこ刺繍作者: hiroko出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2015/05/27メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る 次男のリクエストで作った、…

教える者と教わる者は出会えない‥‥漫画『かくかくしかじか』を読んで

将来の夢は漫画家でやたら自己評価の高かった能天気な宮崎県の女子高生、林明子(作者、東村アキコ自身)は、美大受験のため友人に誘われて行った絵画教室で、ジャージ姿に竹刀を持った鬼のような日高先生に、肥大し過ぎた自意識を木っ端みじんに叩き潰され…

私生活の記述が入試問題になる

昨年度の北海道大学に続いて、今年は中央大学の入試で拙文が問題文に採用されたらしく、日本著作権教育研究会というところから「著作物利用許諾のお願い」が来た。 昨年春に出た共著本『高学歴女子の貧困』(光文社新書)の中の、私の書いた章「「アート系高…

『原節子、号泣す』を読む

小津安二郎は、その監督生涯を通して一番多く女優を泣かせた監督であった。 ‥‥‥という一文で始まるユニークな小津安二郎論、『原節子、号泣す』(末延芳晴、集英社新書、2014)を読んだ。 原節子と言えば戦前から戦後にかけて夥しい数の映画に出演した大スタ…

藤城清治の影絵

この間の日曜日、NHK「日曜美術館」で影絵作家の藤城清治を特集していた。『「光と影の”又三郎”」藤城清治 89歳の挑戦・完結編』(前編の方は見ていない)。 昭和30年代生まれの私にとって、藤城清治の絵は幼少の頃の記憶と強く結び付いている。NHKの「みん…

女が自分を騙すとき‥‥『処女連祷』を読んで

今年は有吉佐和子没後30年ということで、集英社文庫に収録の著作が次々と復刊されるという。著名な作家にも関わらず私の既読は『悪女について』1冊だけで、映画で『紀ノ川』、テレビドラマで『華岡青洲の妻』を昔観たことがあるくらいだが、最近『処女連祷…

『現代アートの本当の学び方』刊行のお知らせ

現代アートの本当の学び方 (Next Creator Book)作者: 会田誠,荒木慎也,大野左紀子,苅宿俊文,暮沢剛巳,谷口幹也,土屋誠一,筒井宏樹,成相肇,橋本誠,日比野克彦,福住廉,三脇康生,村田真,山木朝彦,川崎昌平,フィルムアート社編集部出版社/メーカー: フィルムアー…

新書『高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?』発売のお知らせ

以前にお知らせした新書が、18日(火) 発売になります(北海道、九州は19日)。 監修は『高学歴ワーキングプア フリーター生産工場としての大学院』(光文社新書、2007)の著者の水月昭道。著者は大理奈穂子、栗田隆子、大野左紀子、水月昭道。『高学歴ワーキ…

犬との関係

義両親宅には11歳になるチワワがいる。この犬は私にもよく慣れていて、行くと興奮して飛びついてきて離れない。そんな時、義母は「ほらハッピー、おねえちゃんが困ってるよ」などと言う。「今日はおにいちゃんとおねえちゃんが来てくれて、嬉しいねぇ」。夫…

「高学歴女子」をめぐる共著のお知らせ

出るのは来年の2月ですが、出版社の方からそろそろ以下のようなアナウンスをしてほしいとのことなので、お知らせします。 <新刊案内> タイトル:『高学歴女子の貧困』(仮) テーマ:女子は学歴で幸せになれるか? 「女子の学歴と仕事、そして人生」につ…

『やっぱ月帰るわ、私。』 - インベカヲリ★写真集 -

若い女性が自分の写真を撮られたい時とは、どんな時だろうか。どんなふうに撮ってほしいと思うのだろうか。 自分が一番「輝いている」と思う時? 今の若さを記録しておきたいと思った時? 普段の自分より3割増くらいは美人に撮られたい? 女優のように撮ら…

「『風立ちぬ』戦争と日本人 - 宮崎駿 × 半藤一利」雑感

菜穂子がキャンバスの上に喀血した時の妙に粘性の高い血液と、二郎が設計した飛行機に乗って浴びる逆噴射した黒いオイルは、同じものだ。いくら洗っても取れないよ‥‥。 4日前に観た『風立ちぬ』にいまだにモヤモヤして*1、仕事のレポート採点やるのがしんど…

ラッセン・メモ - ラッセン以前の"ラッセンなるもの"

昨日「線を引く」話を書いたが、早速自分の鼎談発言と響き合いそうな言葉を見つけたのでメモ。 brainparasite art, 書籍 ラッセンの嘘臭い絵、自分の中では少年誌の未来絵図や軍艦断面図、大河原邦男のガンダムアート等の延長に見てるので、割と好きなんだよ…

ニッポンの夏、ラッセンの夏

タイトルはニッポンとラッセンで韻を踏んでみました(言わなくてもわかる)。 ラッセン論集『ラッセンとは何だったのか? - 消費とアートを越えた「先」』がいくつかのニュースサイトで取り上げられて急に話題になり出したと思っていたら、このタイミングで…

「ラッセン本」に寄稿しました

昨年夏に、東京の現代アートギャラリーCASHIで開催されて話題を呼んだ「ラッセン展」の関連本『ラッセンとは何だったのか? - 消費とアートを越えた「先」』(フィルムアート社)が、6月26日に刊行されます。ラッセンとは何だったのか? ─消費とアートを越え…

『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』を読んで

話題の新書。amazonでの評価は分かれている。「評価が高い有用性のあるレビュー」(星4つ)が内容を手際良くまとめてあるので、どんなことが書いてあるか知りたい人にはおすすめ。日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社+α新書)作者: 深尾葉子出版社/…

『ねことオルガン』が教えてくれたこと

『ねことオルガン』(1962、今西祐行、小峰書店)。小峰書店の創作幼年童話シリーズのうちの一冊だが、長らく絶版となっている。 子どもの頃に読んだこの本のことを最近急に思い出し、実家にまだあるか母に聞いてみると、姪(妹の娘)が小さい時にあげたとい…

お知らせ

9月末に出た拙書ですが、ようやく紙媒体で言及されました。今朝の読売新聞9面の『時の余白に』(編集委員 芥川喜好)という長めのコラム欄の終わりの方です(書評欄ではありません)。*1 *2 アスリートという言葉の流行への違和感が綴られた後に、『アーテ…