今日の我が身

昨日の東京は40度を記録したという。
もともと蒸し暑い名古屋地方も近年になく暑い。そして新潟と福井では、集中豪雨の被害で大変なことになっている。


こういう時いつも、災害時の対策の不備が指摘されている。
しかし日本の洪水、水害の多くは、もとはと言えば開発のために雑木林を伐採していて、山が雨水を貯水しきれず、雨が土砂と共にそのまま河川に流れ込むので、水量が一気に増えてしまうのが原因なのだ。自然災害以前に、人災である。
温暖化も同じだ。起きてからの災害対策をいくらやっても、元がそうでは焼け石に水である。


たとえば熊本県の川辺川ダム問題では、森林の自然な保水力を利用した「緑のダム」が、森林生態学の学者によって提唱されているらしい。それによれば20年かけて1950年代の森林帯に戻せば、洪水は防げるとのこと。
長良川河口堰のダム建設時も、そういう話は出ていた。が、国土省も県も真剣に耳を貸さなかった。なぜかというと言うまでもなく、長年土建屋と癒着してきたからだ。


そんな国のもとで、雨が降れば家を流され難民のような暮らしを強いられる人々と、たまたま災害に会わずに済んで、自分とこじゃなくてほんとに良かったと胸をなで下ろす私達。
そして一方で、一縷の希望を捨てず自然保護運動を続けている人々。
しかしこれまでのいろんなツケは、取り返しようのないような規模でじわじわと回って来つつある‥‥。


涼しいとこでそんなエラそうな御託を並べている暇があるなら、福井に一走りボランティアに行ってこい!ということであるが、昨夜ニュースを見ていた夫が突然、
「うちにある米全部炊いておにぎり作って、今から福井に行こか」
と大変に殊勝な提案をしたにも関わらず、即座に却下した私である。
「はぁ?なんで?なんで私達がそこまでしなけりゃいけないの。アンタ昔からそーゆうの好きみたいだけど、ボランティアに頼るからますます根本的な解決にならないんだよ。それに今あんなとこ行ってみなさい、アンタのスポーツカー泥まみれになるよ。そんでも行きたかったら一人で行けば」
夫はプロ野球選手がナベツネオーナーを見るような目でこちらを見たきり、黙りこくってニュース画面に戻った。


明日は我が身であるのはわかっている。しかし今日の我が身がかわいいばかりに、人の善意にまでケチをつける私。
屁理屈こねずにさっさと動いている若者達もいるというに、こんな心掛けでは決していい死に方はできまい‥‥。