自分の顔はどこにある

実名でブログを書いていると、名前を検索されることがある。今日、学生に「先生の名前でググって、写真を見つけた」と言われた。ドキ!! 顔写真はどこにも出てないはずだが。「なんかエプロンしてて伏せ目の」‥‥あっ、あれか! あんなのよく見つけ出したな。「あれ先生ちのキッチンですか」。ちがう。エプロンもコスプレなんじゃ。


5、6年前、あるアーティストの作品に、「暇をもてあましたつまんなそうな主婦」の役で出た。その壁に投影された映像を少し斜めから撮ったものなので、顔が実際よりちょっと面長、体の幅もやや細めに映っている。つまり画像に長体がかかっている。それを、別のあるイベントのちらしの顔写真として出した。ほとんど自分のまともな写真というものがない私は、その適当な映像の写真で間に合わせたのだった。
というか、全体が実像より少しスマートに映っているのでシメシメと思い‥‥。シメシメったって、そのイベントに出るのだからどうせバレるんだが。
ところが私を知ってる人には、ほとんど気づかれなかった。「なんとなく変な写真だなぁとは思ったけど」。10%か15%程度の「減量写真」で悦に入っていた自分。写真の秘密をバラしたことで、自分の二重の自意識過剰ぶりまでバレた。
これ↓
http://www.cuatro-gatos.com/theater/perform200408/participant.html


前、出会い系で知り合った人とメール交換していてやがて会うことになり、恋人になってしばらくつきあったという知人の男性がいた。会う前に、お互いの顔写真を交換したそうだ。その時彼は、自分の顔が少しでもマシに見えるようにと、写真に若干の修正をかけたという。陰影をやや濃いめにしたりして。
「会ったら素が見られることがわかってるのに、ついね。あ、カッコいい人だって思われたかった(笑)」。わかるわその気持ち。もっとも彼はどっちかというと男前だった。なのについ"お直し"をやってしまった。
「女性なら大抵はやってるみたいだよ」。そうかもしれん。40過ぎた女も無駄な足掻きをするくらいだから。「長体かかった詐欺写真をイベントちらしに載せたことがある」と言ったら笑われた(自分のことを棚に上げて)。
修正なしの近影を堂々と出せるダーニャ草実が妬ましい。

これ↓
http://www48.tok2.com/home/danya/profile.html
(アーニャの人がなんか素敵な感じだ。ヘアピンがかわいい。声も素敵)


大学時代、友人達と学内でグループ展をすることになり、まだまともな作品写真もなかったので、それぞれの顔写真だけちらしに載せることになった。写真を撮られるのが苦手な私は、その時も出せるような写真が一枚もなかった。それで三才の時の写真をコピーして出した。母親の作ったプリーツスカートを穿いて、家の壁にもたれている全身写真。
そのちらしを後から見た別の友人に言われた。「どっかの子どもの体に、自分の顔を切り貼りしたの?」。ちがーう。顔と体は一体。これ今の顔じゃないんだよ、三才の時の‥‥ちょっとあんまりだと思った。いくら童顔だからって三才から二十歳まで顔がほとんど同じって、どういうこっちゃよ。それ以降、私は徐々に化粧をするようになった。
その頃は少しでも年相応に見られたくてした化粧だが、今では5、6年前の自分に戻すためにしている。この化粧による時間巻き戻し、何歳くらいから始まるのだろう。30代中頃からか。
30〜40代の女性向け雑誌を見ると、よく「今より5歳若返る」メークやファッションが紹介されている。5歳若返る。5年前の顔。たぶんそれが、普通の女が挑戦するには妥当かつ限界のラインなのだろう。