昨日の記事「美人○○」と「女性○○」について、はてなブックマーク（とそのブックマークとそのまたブックマーク）でid:Midasさんとやりとりをさせて頂きましたので、抜き出しておきます（日付はすべて本日、id:の部分は省略）。
Midas 「美醜」ではなく労働と性別の問題ではないか。例えば我々は兵士が女性であることを恐れる。そこで「美人自衛官」とあえて呼び、能力を格下げするのだ。実際は兵士であることが男性的特質を証明したりはしないのだが
ohnosakiko Midasさん、重要だと思いますが雨宮さんの記事に既にあるので別の観点から書きました。
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Midas ohnosakiko さん。私が申し上げてるのは逆で「実力（決して成功ではなく）を認め」てるからこそ美人と書く。ということです。所謂美女には世間は甘く、天才すら開花するか怪しいもんです。紫式部も林真理子も醜女です
ohnosakiko Midasさん、納得致しました。男性は有能な女性を怖れるがゆえに、「美人」という実力とは別のベクトルで格下げしようとすると。‥‥なるほど！
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Midas 女の人が互いに「本当に素敵だわ」て褒めるようなもんかもしれません。だとすると「オヤジ」ではなく「男おばさん」に近いのかも。つまり「能力」というよりは「女の欲望」が問題となってるわけです＞ohnosakikoさん
ohnosakiko 一見オヤジ的視線でカモフラージュしつつ、水面下で足を引っ張る男のおばさん感性ですか。／というかこれコメント欄でやりとりすればいいのに（笑）／後で追記しておきます＞Midasさん
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当該記事で引用した雨宮さんの意見は、「実力を認めていたら「美人」などとつけないはず。だから「美人」は蔑称だ」というものでした（一方で、「美人でありながら、さらに才能、実力もあるのか」という男性の危機感と嫉妬を煽る言葉である、との見方も示していますが）。
しかしMidasさんの意見は、「実力を認めているからこそ、「美人○○」などと○○にとってはどうでもいいところを持ち上げて、有能な女性であるという事実から目を逸らさせたいのだ」と理解しました。
つまり「美人○○」という言葉をあえて口にするような男性は、男性の領域（と信じているところ）で実力ある女性が頭角を現すことを怖れている。しかも「美人」という規定に、その女性の○○としての実力を実際以下に見せる効果があると信じている。乱暴に言ってしまうと、女性「美」が知性やある種の能力とは相反するものと捉えられている。
面白いですね。女性が「イケメン○○」と言う時、それはないような気がします。イケメンで尚かつ○○の才もあるんだイイじゃんイイじゃん‥‥と単純に思っているような（少なくとも私はそうだ）。男性はやはり「美人○○」と同様に格下げしたくて使うのだろうか。
あ、でも元々女性中心の領域だったところに男性が進出してきて女性以上の成果を収めた時、心穏やかではいられないかもしれません。
（関連記事：男子にはなれない・第四回・幻想の男子不可侵領域）
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で、「女の欲望」については、二通りの解釈をしました。
一つは、「女の人が互いに「本当に素敵だわ」て褒める」のは、この文脈だと「油断しろ」と心の中で言っていることになるわけですから、「女の欲望」とはこの場合、相手の能力を賞賛しつつそれと競いたいというものとは逆の、相手を自分以下のレベルに引きずり下ろしたいという欲望となります。その「女の欲望」を、「男おばさん」が、実力のある女性（しかも美人）に対して抱いていると。
これを「女の欲望」と言ってしまうのは、性差別表現になるのかもしれません（男にもあるだろ！という声が聞こえてきそう）し、私の考える「女の欲望」とは違いますが（むしろ「おばさんの欲望」？）、とりあえずそういうことで。
もう一つは、「○○において誰にも負けない能力を身につけたい」という「女の欲望」が、その女の実力そのものよりも男性を怖れさせるという意味です。
この欲望は男性のものとされてきました。女性の役割はそうした男性をサポートすることであり、女性は男性のような欲望をもたないものとして位置づけられていました。
これはもちろん昔の話です。さまざまな分野で、野心をもち「上」を目指して努力を怠らなければ、そしてそれを後押しする環境と才能があれば、男であれ女であれ遜色ない力を身につけられることが証明されてきたわけで、長らくホモソーシャルな社会を作って同性同士で競い合ってきた男性も、優秀な女性の実力は認めざるを得ない。
にも関わらず、そこにある能力向上への飽くなき「女の欲望」は、男性にとって、女性を女性でないものに見せてしまう（もはや男性は眼中にない）がゆえに忌避の対象となる。怖いのは女の実力ではなく、男性にはよくわからない「女の欲望」なのです。
これから目を背けるために「美人○○」という言葉がある。
‥‥こっちかな。
