レポート要領

この間の記事に反応が多かったので、レポートについて。
単位認定に、テストではなくレポートを課しているケースは、どのくらいの割合であるのだろうか。私の行っている地方の芸術大学では少ないようだ。テストが多い。採点が楽だということもあるのかもしれない。
私の場合は半期の授業内で四回ミニレポートを書かせており、成果を総合的に見るにはやはりまとまった文章が良いと思っているので、ずっとレポート課題にしている。人数が200人近くいて読むのが難儀ではあるが、やはり学生の書いたものはいろんな意味で面白いし、読んで驚きたい(いい意味で)という期待もある。二年に一回くらい驚ける(いい意味で)。
大学に入るまでに小論文などで訓練している学生はほぼ皆無だが、講義の中でその特訓をする暇もないので、ミニレポートを取り上げる際に「ここをもっと突っ込んで書いた方が良い」「この日本語はこうしないと意味が通らない」などの短い指導はしている。焼け石に水かもしれないが、しないよりはマシということで。
単位認定レポートの提出締め切り日は講義が終わって数日後になるので、いつも一ヶ月前に告知し、レポート要領のプリントを配って20分ほどレクチャーをする。一年目は課題内容と字数を伝えただけだったが、驚くべき結果(悪い意味で)が出たので、二年目からプリントを作った。最初から文章が普通に書ける学生ばかりの大学では、こんなことをしなくてもいいのだろうけど。


以下は、配布しているプリント。

ジェンダー入門」レポート要領
1 課題内容
  ※毎年少しずつ変わるが、基本的には映画を選んで分析する。
2 用紙・枚数・文字数
  大学指定原稿用紙5枚以上(2000字以上・5枚目の途中のものは不可)
  ワープロ、パソコンのプリントアウト不可
3 注意事項
  ・文章は「〜だ。」「〜である。」で統一する。
  ・文章の要旨に沿った改行を行うこと(行数稼ぎの改行は減点対象とする)。
  ・手書き原稿の場合、鉛筆はHBを使用し、読み易い字を心掛けること。
  ・漢字で表記すべきところは漢字を使い、誤字脱字に注意。
  ・文献などの一部を参考として引用する場合は、最後に必ず出典を明記し、そのどの部分を本文に引用したのかをわかるようにしておく。
  ・必ず全文のコピーをとってから提出すること。
4 提出場所
   教務学生課 レポートボックス
5 提出期限 
   ○月○日(○)○時まで(時間厳守)
6 評価基準
  ・ジェンダーについての一般概念を理解しているかどうか。
  ・対象への観察、分析が丁寧になされているかどうか。
  ・文献等の引き写し、剽窃ではなく、自分の意見が述べられているかどうか。
  ・要旨に沿った論の展開がされているかどうか。
  ・論述内容に、説得力、深まり、独自性があるかどうか。
7 参考資料
  ※参考文献や映画の紹介

   

以上について説明した後、口頭で以下のことを注意し、プリントの余白にメモらせている(メモをするという行為をさせないと頭に入らない)。
・必ず下書きをせよ(思ったことをメモでいいのですべて書き出してみる→そこから中心的に論じたいことに○をつける→中心的に論じたいことについて、映画を思い出しながら詳しく書き出す→全体の論旨が通るように順番をつける→下書き→推敲→清書。この手順を踏むこと)。
・文章の巧みさより、自分なりの思考の跡があるかどうかを重視する。きれいごとでまとめるな。何を書いていいかわからない時は、登場人物の立場だったら自分はどうするか、それは何故かを考えて書け。
・ネットからの剽窃は必ず見つけるのでするな(今までに発見した例を2、3挙げる)。
レンタルショップに行くところから書くな。いきなり内容から始めよ。
・映画の内容に関連して個人の体験を例に挙げるのは良いが、恋愛相談などは書くな。
・ストーリー説明は必要に応じてのみで良い。ストーリー説明が一枚を超えるものは不可。
・映画タイトル、監督名、公開年のデータ表記を忘れないように。
・評価基準の三番目までクリアしていれば可。四番目までは良。すべてクリアしていれば優(毎年平均で、優が1〜2割、良が3〜4割、可が3〜4割、不可が1〜2割くらい)。
    

これ以外に、「これだけは言っておいた方が」というのがあったら知りたいと思う。



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