『ラッセンとは何だったのか?』トーク・イベントのお知らせ

8/19アップの記事ですが、イベント開催日(8/29)までブログのトップに来るようにしておきます。


『ラッセンとは何だったのか? - 消費とアートを越えた「先」』
(フィルムアート社、原田裕規=編著/執筆者=斎藤環、北澤憲昭、大野左紀子、千葉雅也、大山エンリコイサム、上田和彦、星野太、中ザワヒデキ暮沢剛巳、土屋誠一、河原啓子、加島卓、櫻井拓、石岡良治/四六判/268頁/定価 2,200円+税)









『ラッセンとは何だったのか?』出版記念 いま、ここからのラッセン|B&B

6月の刊行以来、各所で大きな反響を呼んでいる書籍『ラッセンとは何だったのか』。本書は、美術史上で「タブー」とされてきたクリスチャン・ラッセンを、アート、メディア、精神分析、表象文化などさまざまなフィールドから俯瞰し、現代によみがえらせた、格闘のあと生々しい書籍です。




一体ラッセンの何が、わたしたちの心をかき乱すのでしょうか。わたしたちはラッセンについて語りながら、いつしか自分という存在や、自分が立つこの社会について考えずにいられません。本イベントでは、執筆者より斎藤環さんと大野左紀子さん、編著者の原田裕規さん、さらにファシリテーターとして速水健朗さんに参戦いただき、書籍では語り尽くせなかったラッセンをめぐる問題の深淵に踏み込みます。わたしたちにひそむ裡なるラッセンと出会う場へ、ぜひ。

出演    斎藤環  (精神科医
      大野左紀子(大学・専門学校非常勤)*1
      速水健朗 (編集・ライター)
      原田裕規 (美術家)
開催日時  2013年8月29日(木) 20:00〜22:00 (19:30開場)
場所     本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F )
入場料    1500yen + 1 drink order


本はできれば読まれていた方がいいでしょうが、未読の方でもラッセンもしくは巷の「ラッセン現象」に興味があれば8割方大丈夫の内容だと思います。多くの方のご来場をお待ちしております。



ここからはやや個人的に。
書籍の方はボリュームや写真資料により2200円とややお高めでしたが、このイベントも、ドリンク付き2000円というのは相場からしてややお高めなのでしょうか? こういうトークの場にあまり慣れてない者としては、ロードショーより高い料金に緊張いたします。「参戦」という言葉が嫌が上にも緊張感を高めますね。私は誰と「戦」えばいいのでしょう。3人とも「敵」ですか。んじゃ一応そういう構えで臨みます(震え声)。*2


人選はフィルムアート社が行っていると思いますが、「15人の中ではあの人に出演してほしかった」とか「もっといろんな出演者がいた方が」といった意見もあるかもしれません。私も直接お話を伺ってみたい執筆者の方が何人かありました。
この顔ぶれになったのは私の想像では、アートの制度論 ― ラッセンを排除することで成立してきた現代美術― の話に集中すると客層がアート方面に限定されてくる懸念があるので、それを含みつつもわりと広く一般的な受容論 ― なぜラッセンは90年代の日本でここまで受け入れられたのか ― の話になりそうな執筆者‥‥ということではないかと。*3
イベント告知文にもありますが、斎藤環さんの論考の中の「裡なるラッセン」という言葉がキーとなるかと思います。


ファシリテーター速水健朗さん(ラッセン・ヤンキー論にはたしか懐疑的なお立場でした)というのも、こうした文脈を汲んでのことだと思います。
また結果的に、編著者の原田裕規さん(1989生まれ)は別として *4、本書の執筆者では一番多い70年代から80年代生まれの論者たちがトークにいないので、その「穴」を速水さんが埋めるかたちにもなっています。


とは言え、現代美術業界にとってほぼ「タブー」(©中ザワヒデキ)となっていたラッセンを取り上げた企画展が発端なので、そのあたりの話は必然的に出てくるでしょう。制度論と受容論は深く絡み合っています。このへん個人的に、本に収録された鼎談で喋りそこねたことも結構あります。
というわけで私としては、ヤンキー論の方はご専門の斎藤環さんにお任せして(っても少しは喋ります)、そこから斜め上や斜め下の方向に幾つかの線を引くことができればと考えております。
トークの中で、ラッセンをめぐってどんなかたちの「地図」が浮かび上がってくるのか、個人的にも楽しみです。

*1:最初私の肩書きが「美術家」になっていたので、直してもらいました。急いでいて「講師」付け忘れた。。美術家”廃業”したのがきっかけで文章書き始めた、なんてことは案外伝わっていないものです。もっと精進しなければ。

*2:そんでもって、登壇衣装にも頭を悩ませ中。体重が着々と増加している今、一番痩せて見える服を着ていくべきか、「オシャレな人に見える」と周囲に評判の良い服を着ていくべきか、それともここは思い切ってラッセンブルーの服で行くべきか。決まらない。もう誰かに決めてもらいたい気分。「50代のオバサンが何着てこようと誰も気にとめんわ」とか「頭もラッセンブルーに染めソフビ製のイルカを股に挟んで登壇すべき」とかいうのはナシで。

*3:もちろん日程が合わなかったとか遠方にお住まいとかもあったと思います。

*4:しかし原田さんと自分が30歳も離れていたことに、今更ながら愕然としている。こういう人の30年後の活躍を私は目にすることはできないんですよね、たぶん‥‥とか思ったりして少しシミジミとなる。