「おばさんになれば "なるほど"」第二回アップされました。

第一回の中で、中年後期の女性にとっての二つの欲望問題を挙げました。
1. 愛情(広い意味での性欲)をどこにどう向けるか?
  =ナルシシズムフェティシズム
  =「自分を愛でたい」欲が強いか「何かを愛でたい」欲が強いか‥‥という問題
2. 共同体の中でどんな関係性を求めるか?
  =献身欲か自己顕示欲か
  =「必要とされたい」欲が強いか「一目置かれたい」欲が強いか‥‥という問題
1を縦軸、2を横軸に取り、その中に8つのタイプを配置しましたが。
   


最初に取り上げるのは、クリエイティブな人です。
本職のアーティストやクリエイターというのではなく、趣味でオリジナルの物作りを楽しむ人のこと。あなたの周囲にも一人や二人はいるでしょう、手芸や小物作りやおかんアートや写真や絵に嵌っている「おばさん」が。


[連載]おばさんになれば"なるほど" 「手作りコサージュ」「スワロフスキーのブローチ」クラフトするおばさんに渦巻く欲求
(イラストも描いてます)


手作りブームは少し前からありましたが、雑貨から家具までDIY志向が広がっている昨今、国内最大のハンドメイドマーケットであるminneがテレビCMを打つようになり、ますますこの傾向が強まりそうな勢いです。
大量生産&消費への反動がハンドメイド流行りの背景にあるのでしょうが、やっぱり基本にあるのは、「作るのが楽しい」ということだと思います。
どんな分野でも最初は大抵、人真似から始まります。モチーフやアイデアは本やネットから借りてくる。技術的にも初心者。そのうち、自分だけのオリジナルを作りたい気持ちと、そのためにもっと技術を身につけたいという気持ちが湧いてくる。手芸でもイラストでも何でもそうだと思います。


余談ですが、最初は自分の物を作って満足していたのが、上手くできるようになって人にも褒められると、誰かにプレゼントしたくなります。何でしょうね、これ。
たとえば、男性は自分が作ったモノを人にあげたいという発想には、あまりならないんじゃないかと思います。自分でコレクションする。モノは所有し支配するもの。それに対して、女性はどちらかというと「あげたり貰ったり」が好きなのではないか。それに伴うコミュニケーションも含めて楽しみたい。むしろモノはそのための触媒。
まあなんとなく感じる傾向というだけで、個人差はあるでしょうけど。



個人的な話です。
なんだかんだで、作りかけのモノ、作る予定で材料だけ買ったモノがいつも家の中にあります。特に針仕事はやり出すとハマるので、まとまった時間で一気に仕上げたい。暇になったらやろうと思っているうちに溜っていきます。
最近は、自分の物を作るより誰かにプレゼントするという目的がないと、なかなか動き出せません。相手の趣味をよく知っていて、これなら喜んで受取ってもらえそうだ‥‥というのを構想するのは楽しいものです。


私の場合、モノを作るというと専門的には美術方面の技術しかないので、プレゼントに絵をリクエストされたことが何度かあります。
去年、冬の初め頃に友人のやっている店に行った時、30年近く前に進呈したイラストが久しぶりに飾ってありました。昔の洋画が好きな彼女の趣味に合わせて描いたもの。「毎年、この季節になると飾りたくなるんだよね、雰囲気的に」。飾ったら飾りっぱなしより大事にされている気がして嬉しくて、写真を撮らせてもらいました。


  
(木炭紙に木炭とコンテ鉛筆)