花と蛇

庭のハクモクレンが何年ぶりかにちぎったティッシュみたいな花をつけ、それが散ったらずっと前に植えてだんだん増えてきたスミレ群が咲き、次はシランの赤紫の花が一斉に開き、ドウダンツツジもスズランに似た小さい白い花をつけ始めて、あまり熱心に手入れしていない狭い庭もそれなりに季節が移り変わっていく。
こういうのこそ写真を撮ってブログにアップすれば、ほっこり系おばあちゃんブログという新しいスタイルを確立できるかもしれないのに、ぼんやり見ているだけで過ぎてしまった。


今は藤の季節。犬の散歩コースに見事な藤の花が。


右は人家、左は用水。用水の方にどんどん張り出して、棚が作れないせいかつっかい棒で支えられている。野生の藤が近くの樹木に盛大に巻き付いて、樹木をほとんど乗っ取ってしまっているところもあった。
藤は、近くのものに巻き付く植物。蔓は強靭、幹は曲がりくねって大蛇のようだ。花だけはたおやかな風情だけど。
そんな藤の姿を見ていたら、あることを思い出した。


10数年前、30〜40代の仲間内でアート系同人誌を作っていた頃、学芸員志望の大学院生Bさん(女性)が同人に入った。その時の会話。
S 「オオノさんとBさんで、対談の連載やらない?」 
N 「Bさんが毎回素朴な疑問をオオノさんにぶつけて、オオノさんが答えるの」
B 「わーい」
私「いいね、やりましょう」
S 「タイトルはもう考えてあるんだ。『花と蛇』」
B私「なんで?」
S 「だからBさんがね、オオノさんにしごかれて目醒めていくという連載なんだよ」
B 「きゃー(笑)」
私「じゃあ花ってのは」
SN「もちろんBさん」
私 「で、蛇が私とな」
SN「はい」


SとNはふざけたタイトルを考えるのが好きで、当時私の連載レビューは「犬に噛まれたと思って」という、書いた本人にも書かれた人にもかなり失礼なタイトルをつけられていた(それを受け入れたのは自分だが)。
犬の次は蛇かーと思ったけど、この対談は結局実現する前にBさんが学芸員になって忙しくなったので、そのまま流れた記憶。


藤という植物の中で、「花と蛇」は一体になってる。そうだよ、おんなじものなんだよねぇと傍らの犬に話しかけたが反応はなかった。