「個性」のことなんか忘れたほうがいい‥‥連載「絵を描く人々」更新

絵を描く人々 第16回 個性と型 - WEBスナイパー*1


芸術において何より重要とされてきた「個性」について、私はずっと前から懐疑的だ。
「個性」と言われるものは今や、既存の様々な個性の組み合わせか、それぞれの「個別性」に過ぎないし、資本主義と民主主義がタッグを組んでいるこの世界で私たちの位相は悲しいほど均一であり、そこに本質的な意味での「自由」などない。「個性」や「自由」に外部を夢見る力が託されていた時代は、20世紀で終わっている。


‥‥‥なんてことをだいぶ前に拙書他で書いたりしましたが、そこで念頭にあったのはアートの世界でした。
アーティストではない人々が趣味や楽しみで絵を描いたりする中で、「自分の個性って何だろう?」「もうちょっと個性的な絵にしたいな」と思うことは普通にあるし、別にあっていいと思うのです。
しかしながら、個性的であることを希求しても、個性的な絵が描けるわけではないのは当たり前のことです。
むしろ、個性のことなんか忘れてしまったほうがいいと思います。楽しく描けることのほうが大切です。個性なんて、ほんとにオマケみたいなもんです。


連載の挿絵にあまり個性のないデッサンを載せている私が、こんなことを言っても説得力がないかもしれません。
でも、もし絵が好きで「個性コンプレックス」の人や、お子さんの絵が「個性的じゃない」ことにちょっと不満な人がいたら、こういうふうに考えてみたらいいんじゃないか? 今回はそういう提案として読んで頂ければと思ってます。



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