キャリア優先の娘と専業主婦の母の葛藤を描いた『母の眠り』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第6回が公開されてます。
今回取り上げたのは、1998年のアメリカ映画『母の眠り』。メリル・ストリープレニー・ゼルウィガーが親子を演じています。


介護と離職、葛藤を通じて見直される「親子のかたち」|ForbesJAPAN


親の介護。いつかは来ることと頭では思っていても、いざその時になるとうろたえるものです。
まして、まだ若い時に突然親が倒れて、仕事を中断し介護せねばならなくなったら。親も子も考えたくない事態ですが、ふりかからないとも限らない。


この作品は、そうした思いがけなく生じた親の介護を通じて、娘が母親の姿を再発見していく物語です。
母と娘では、生き方も価値観も文化も違います。特にこのヒロインは仕事が大好きで、専業主婦の母親の生き方に内心反発しているタイプだから、最初はかなりしんどい。
また、尊敬していた父親の実像も、再発見されていきます。サム・シェパードが演じる作家で大学教授のこの父、インテリ男性の一類型として興味深いです。


夫の両親含めて三人の親を大した介護の機会もなく見送った私ですが、これまで別々に暮らしてきた年老いた親と改めてつき合うということは、親の生活文化に足を踏み入れ、それを理解はしないまでも、寄り添ってみようとすることだと実感しています。
そのことを通じて、彼/彼女の生きてきた時間、時代や環境を想像してみることは、決して無駄ではないと思います。


母の眠り [DVD]

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