自分のためだけに生きるか他人と共に生きるかを問う『マーサの幸せレシピ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」、第八回が公開されています。


完璧主義で人間嫌いな女性シェフが、試行錯誤の果てに見つけた人生 | ForbesJAPAN


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今回は、2007年にハリウッドでリメイクされヒットした、2002年のドイツ映画の話題作『マーサの幸せレシピ』を取り上げています。
作品タイトルはほんわかしてますが、内容は結構刺さります。ちなみに担当編集者には「じーんとした」とお褒めを頂きました。


キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演のリメイク版『幸せのレシピ』では、娘の父親の登場がカットされています。その分、後半は恋愛面がクローズアップ。
テンポは良く、さりげなく説明的シーンも挿入されていて、見やすいと言えば見やすいウエルメイドな作りですが、私は元のドイツ版の方が好きです。


ヒロインを想う男性は、階下の建築家(ドイツ人)と新任シェフ(イタリア人)。ドイツ人は真面目で親切、イタリア人は陽気なラテン系。
ドイツ人であるヒロインにとってドイツ男はいい人だが間が悪い。イタリア男とは反発し合う。しかし彼の存在はどんどん大きくなってゆき、やがて、仕事人間の彼女の人生に足りないのはラテン的要素だったという結論が出る。


この設定がハリウッドのリメイク版では活かされていないのです。気の強い女を演じてハマるキャサリン・ゼタ=ジョーンズと優男のアーロン・エッカートの組み合わせは悪くないのですが、二人並んでいると見た目、すぐ恋に落ちそうに見えてしまう。
ドイツ版は、まんまイタリア人の男で顔もキャラも濃いし、ドイツ男も生真面目な中にユーモラスな味があります。
主人公と引き取った娘との関係も、ドイツ版の方がやや大変そうな分、主人公がハードモードでてんぱってる雰囲気がよく出てるし、二人の気持ちが通い合った時の感動が大きいと思います。
まあこれは好みの問題ですが。見比べてみるのも面白いかもしれません。


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