ForbesJAPANに好評連載中の映画コラム「シネマの女は最後に微笑む」第16回が公開されています。
不法行為への追いやられる貧困の中の、ささやかな絆と倫理 | ForbesJAPAN
- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2010/12/10
- メディア: DVD
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2008年のアメリカ映画『フローズン・リバー』(コートニー・ハント監督)を取り上げています。
ふとしたことから不法移民の「密輸」を手伝うことになってしまう、貧しい中年女性レイ。彼女をその仕事に引っ張り込むのは、アメリカとカナダの国境近くの居留地に住むモホーク族の女性ライラ。雪と氷に閉ざされた小さな町を舞台に、崩壊しかかった貧困家庭、闇のビジネス、人種間の軋轢など殺伐とした風景が描かれます。
DVD見直していて、ラストシーンで思わず泣きました。
レイを演じたメリッサ・レオはもちろん素晴らしいですが、幼い弟の面倒を見つつも鬱屈を抱える15歳の長男を繊細な演技で見せたチャーリー・マクダーモットという俳優さんが、なかなかいい。この後の映画作品には恵まれてないようですが。
『グラン・トリノ』(クリント・イーストウッド監督、2008)とも比較されることのある本作、世界のあちこちで不法移民問題が取り沙汰される今こそ、再見したい作品だと思います。
この間の、メキシコ国境での不法移民親子引き離し問題は、原稿を出した後だったので前振りに入れられませんでした。一応の解決をみたようで良かったです。
貧困、犯罪、弱者、親密圏の最構築という要素から、『万引き家族』を連想する人もいるかもしれません(私はまだ観てないです)。