ドヌーヴの貫禄と多面的な魅力が光る『ルージュの手紙』

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第28回は、カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが共演した『ルージュの手紙』(マルタン・プロヴォスト監督、2017)を取り上げています。原題は『Sage femme』(助産婦)。


セーヌの流れに交錯する生と死、出会い直す二人の女 | ForbesJAPAN



ドヌーヴがとにかく素晴らしい!
助産婦のシングルマザー(フロ)と彼女の亡き父親の恋人だった女性(ドヌーヴ)との、微妙な関係性の変化を描きつつ、それら人間模様を大きな世界の中の点景として、遠くから眺める視点を時折挿入しているところも秀逸。


再生産に関わる女と関わらない女の生き方の対比はやや類型的ではありますが、それをカバーして余りある女優の演技で見せています。私は人間のタイプとしては前者に近いですが、子供がいないことと、ドヌーヴの演じる女性の多面的な魅力もあって、後半は後者に感情移入していきました。
単なる和解のハッピーエンドで終わらない、若干ビターな余韻も深く、平凡な言い方ですが「ああ大人の映画だな」と感じ入ります。


実際の出産シーンが何度かあるので、そういうのが苦手な人は要注意かもしれません。
あと邦題がやはり今ひとつの感じ。『助産婦』では難しいとは言え、「ルージュの」ときたら日本では「伝言」ですよね。