「シネマの女は最後に微笑む」第59回は、「自粛要請」の二律背反を枕に、ナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』(2010)を取り上げています。
現実と心的現実(幻覚)が交錯して描かれるこの作品、後者に焦点を当てて振り返ってみました。なぜなら、この作品が伝えたかったことは、心的現実において読み取るべきだと思うからです。
現実に起こった出来事の方を見れば悲劇的なラストですが、ニナの心的現実においてはそうではないのです。連載タイトルではないですが、彼女が「最後に微笑む」のもそのためです。
今回改めてDVDで観直しましたが、この時期のナタリー・ポートマンでなければ演じられなかっただろうと思うくらい、ハマっていますね。
ところでこの連載は、冒頭に時事ネタか季節ネタを入れることになっており、編集部からは「いつもネタ振りから映画への導入が見事」とお褒めの言葉を頂いているのですが、ここのところニュースはコロナ一色なので、どう繋げるかで苦心しています。
今回は実はちょっと無理しました。