「異物」を排除する共同体を描いた『獣は月夜に夢を見る』(連載更新されました)

告知遅くなりました。

「シネマの女は最後に微笑む」第61回は、コロナ禍の「自粛警察」の話を枕に、デンマークとフランスの合作映画『獣は月夜に夢を見る』を取り上げています。

 

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デンマークの漁村を舞台に、少女の体に異変が起き「獣」になっていくという、ホラーとミステリーが入り混じった少し不思議なテイストの作品。

『ぼくのエリ 200歳の少女』ともよく比較されている模様です。思い切って自由に解釈してみました。

 

 

二つの暴力が描かれます。一つは「異物」を差別し排斥しようとする共同体の暴力。もう一つは、「異物」であるヒロイン自身の、外見と内面に芽生えていく暴力性。

自身の変化に怯える少女から、それを隠さなくなっていく女へ。ヒロインを10代で演じたというソニア・ズーの、繊細な中に強靭さも感じさせる存在感が素晴らしい。セックスの最中に「獣化」が進むところはちょっとうっかり笑ってしまいましたが。

 

 

佇まいからしてすごく雰囲気のある、父親役を演じたラース・ミケルセンは、マッツ・ミケルセンのお兄さん。家を出ていく娘を見送る眼差しに胸を締めつけられます。

後半ちょっとスプラッターな展開になっていくので、血の苦手な方はご注意を。全体的にはカメラワークが素晴らしく、独特の美しい映像を楽しめると思います。

 

予告編

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