呼び方から浮かび上がる関係性‥‥『あなたの名前を呼べたなら』

遅くなりましたー。

連載「シネマの女は最後に微笑む」第70回は、夫や妻の呼称問題を枕として、『あなたの名前を呼べたなら』(ロヘナ・ゲラ監督、2018)を取り上げています。

 

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ブルジョワ息子とメイドの恋愛未満の関係。「病んだ王子と健気な娘」という『美女と野獣』パターンの変形と言えるかもしれません。

二人の間に漂う雰囲気はほのぼのとして、次第に恋心に気づいていくヒロインが可愛らしい。その中で、身分制度がいまだ色濃く残るインド社会の諸相が浮かび上がってきます。


興味深いのは、欧米化された富裕層と伝統的な庶民のライフスタイルが、相対的な視線で描かれている点。対立関係になった相手が最後に味方になるという展開にも、監督のバランス感覚が効いています。

インドの街の賑やかな情景やインテリア、ファッションなど、色彩の配置が美しい。

またインド映画でよく唐突に始まるダンスシーンは、内容に即したかたちでさりげなく挿入されています。

 

今回は、映画の場面の画像が何枚か入ってますよ。おすすめ。