『シンプル・フェイバー』、『フラワーショウ!』(連載更新されています)

「シネマの女は最後に微笑む」第95回と96回のお知らせです。
今回は本文から抜き書きで。


◆『シンプル・フェイバー』(ポール・フェイグ監督、2018)

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シングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)がリッチなエミリー(ブレイク・ライヴリー)とママ友になり、互いの秘密を打ち明けるほど親しくなったところで、仕事の都合で子供を預けられるのだが、その日からエミリーはふっつり姿を消す。
彼女の夫ショーン(ヘンリー・ゴールディング)にも勤務先のアパレル会社にも所在がわからない中、ある日なぜか離れた場所で水死体となって発見されるエミリー。
打ちのめされたショーンを支えようとするステファニーだが、しばらくすると死んだはずのエミリーの影が周囲にちらつき始める‥‥。

ミステリードラマとしてよくできている本作だが、では謎解きのスリルに重点が置かれているのかと言えば、ちょっと違う。

 

YouTubeVlog画面で始まり終わる本作は、ミステリーの形式をとりつつ二人の女性の関係性をブラックな笑いを散りばめて描く快作。

アナ・ケンドリックブレイク・ライヴリーも上手い! 少しずつ斜め上に行く展開と、ヒロインを失笑させるキャラにしているところが新鮮です。


◆『フラワーショウ!』(ビビアン・デ・コルシィ監督、2014)

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英国王立園芸協会主催のチェルシー・フラワーショウ2002年大会で、かつてない「雑草の庭」を創出して優勝し、ガーデニング界に新風を巻き起こしたメアリー・レイノルズの実話ドラマである。ざっとあらすじを見ておこう。
1974年、アイルランドの田舎で生まれ自然に親しんで育ったメアリー(エマ・グリーンウェル)は、ガーデン・デザイナーを目指してダブリンに上京、著名人を顧客に持つ造園家シャーロットのアシスタントになる。
シャーロットの豪華絢爛なデザインに次第に違和感を覚えていた頃、メアリーは初めて行ったロンドンのチェルシー・フラワーショウで出会った植物学者クリスティ・コラード(トム・ヒューズ)と意気投合。クリスティはエチオピアの緑化や灌漑に力を注いでおり、メアリーと深いところで価値観を共有できる人物だった。

 

「自然と共に生きること」を巡って、若くユニークなガーデン・デザイナーと、エチオピアの灌漑・緑化に挺身する植物学者の、価値観の共有とずれ、一筋縄ではいかない関係性が興味深い。最後まで結構ハラハラさせられます。映像も美しいです。