幸せの条件

前の記事で掲載したブコメ議論に追加があったので記事に加えた。
こういう話題はどうしても見た目、女性vs男性の図式で固まってしまいがちなのは仕方ない部分があるが、少し前の記事のコメ欄にまた別の角度のやりとりがあったので再掲しておく。
以下、こちらから。● がslide100さん、○ は私。話のポイントを明確にするため、枝葉や各論の部分、受け答えの儀礼的な部分はカットしてある。

● 私のような30代半ばはバブルによる価値観の変化後に大学時代を迎えた世代ですから、大野先生の女の分析はともかく、男の分析については違和感をもってしまうんですけどね(笑。バブル期の「消費」と結びついた俗流フェミニズムに功績があるとすれば、それは「男」を変えたことでしょう。バブル期以前の価値観で思春期を過ごした世代と変質後の価値観で思春期を過ごした世代では、女性に対する認識は大きく異なる。その辺の「男」の変質を充分に捉えているような分析はあまりないですね。

○ >バブル期以前の価値観で思春期を過ごした世代と変質後の価値観で思春期を過ごした世代では、女性に対する認識は大きく異なる。


端的に言うとどういった点ですか?

● 端的に言えば、「男と女は対等である」ことが自明の事実として刷り込まれている、刷り込まれている男の割合が多くなったということですね。


私の世代は過渡期ですが、若い世代はもっと顕著だと思いますね。「男と女は対等である」と思っているので、仕事のできる女をみても「女のくせに」とか思わず、素直に尊敬できる。逆に、男が女をリードしなくちゃいけないとか、男が女を守らなくてはいけないとか言われても、「なんで?」ということになるんじゃないですかね。


もう少し書けば、女が「男の好む女を演じる」と同じ意味合いで、男も「女の好む男を演じている」ということですよ。相手によって色々変えてるわけです。

○ ああそういう変化ですね。了解しました。
ついでに伺いたいのですが、「この20年、女が一貫してレートを上げ続けている」という実感はありますか?
あるとしたらどんな点で?

● 件の堀井氏の著書は読んでないし、消毒氏との論争も正確にフォローしていませんが、1990年からの20年間、女がレートを上げ続けているという実感はありませんね。印象はむしろ逆です。


「女がレートを上げる」=「女が結婚の条件引き上げている」であれば、明らかに下がっているように感じます。
また、風俗・キャバクラなどの値段は下がっていますし、AVの品質も向上したのに値段はむしろ下がっていることから、商品としての「女の性」の価値も下がっているように感じますね。

○ この20年、女がレートを上げ続けているという実感がなく、むしろ逆というのは、やはりバブルの時が一番上がっていたということでしょうか。
次の記事のコメ欄でSilver_PONさんも書いておられましたが、女がレートを上げているわけではないのに、男の経済力が落ちたり男女平等意識が浸透してきたことで、相対的に男から見ると女がレート上げてるように見えたんじゃないの?という感じもしています。
こんな言い方は大変失礼ですが、地盤沈下している方がそれに気づかずに周囲を見たら、そっちがどんどん上がっているように見えますよね。

● >この20年、女がレートを上げ続けているという実感がなく、むしろ逆というのは、やはりバブルの時が一番上がっていたということでしょうか。


物質的な意味ではそう思います。女というかメディアが煽っていただけかもしれませんけどね。


>相対的に男から見ると女がレート上げてるように見えた


ま、私の場合1990年〜1995年を基準にみてますので、それ以後女がレートを上げているという実感はないんですけどね。
それに、いくら男と女が対等といっても、現在の社会状況では育児を考えるならほとんどの場合、家計は男の稼ぎに依存せざるをえない。だから、女が結婚相手に一定の経済力を求めるのは当然のことですし、それはバブル期以前からそうでしょう。


「レート」=「結婚相手に求める経済力」なら、バブル期が異常に高かっただけで、現在は至極真っ当な水準まで下がってるんじゃないですか?


昨今の晩婚化や未婚化の原因は「恋愛の延長線上に結婚がある」「無理に結婚する必要はない」という風潮にあると思います。
それに、最近の若い女は専業主婦志向が強いように感じるので、もし今後も未婚率が増加するのなら、それは男がレートを上げているからかもしれないです。若いうちは「まだしばらく独身で遊びたい」といって年をとり、35を過ぎて婚活をはじめても、「若くて綺麗な女」にこだわるあまりいつまでたっても結婚できない男って多いですからね。はっきりいって、40近い男が20代の綺麗な女と結婚するのは至難の業だと思います(笑。

○ >昨今の晩婚化や未婚化の原因は「恋愛の延長線上に結婚がある」「無理に結婚する必要はない」という風潮にあると思います。


恋愛の勢いで結婚してしまうのは案外容易くて、そこで収入が‥‥とか長男は厭とか考えだすから結婚に至らないんじゃないかと思っていましたが、むしろ「恋愛の延長線上に結婚がある」(恋愛相手=結婚相手)が晩婚化の原因とすると、恋愛自体が難しくなってるということですかね。
「無理に結婚する必要はない」は確実にあると思います。女性が結婚を望むのはやはり子供が欲しいからで、もしシングルで育てることがいろんな意味でキツくなくなれば、ますます結婚しなくなるように思います。


>それに、最近の若い女は専業主婦志向が強いように感じるので、もし今後も未婚率が増加するのなら、それは男がレートを上げているからかもしれないです。若いうちは「まだしばらく独身で遊びたい」といって年をとり、35を過ぎて婚活をはじめても、「若くて綺麗な女」にこだわるあまりいつまでたっても結婚できない男って多いですからね。はっきりいって、40近い男が20代の綺麗な女と結婚するのは至難の業だと思います(笑。


これは男性が声を大にして言ってください。女が言っても素直に受け取れない男が多そうなので(笑)。

*1


こういうことは世代もあるだろうけど、周囲にどんな女性がいたか、どんな女性とつきあったかで見方も変わってくるだろうなと思いつつ、「幸せ」と一口に言っても、皆が皆、同種類の「幸せ」に向かうわけではなく、現実的な男女はレートを無闇に引き上げず自分の値札に合った相手を見つけようとするし、異性とは騙し騙され楽しくやれればいい人は相手の好む女/男を積極的に演じるし、妄想世界に浸っていたい人は世間が何と言おうとその世界を手放さないし、「無理に恋愛や結婚をする必要はない」という涼しい諦観の域に達している人は異性を必要としない生活スタイルを身につけるか、結婚や恋愛抜きで異性とつき合う術を探していく*2 のだから、そんな中で、今時希望年収1000万の元々無理な女や『やまとなでしこ』の桜子タイプをいつまでも追い求める男が、歳をとればとるほど増々しんどくなっていくのは自業自得だよということを、周りの誰かがちゃんと教えてあげないといけないのかもしれない。


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余談だが個人的には、誰かと「人間関係を作りたい」という欲求の基礎にあるのは単純に「相手の喜ぶ顔が見たい」という素朴な感情であって、それに性欲が混じらなければ友人関係、混じれば恋愛になるくらいの感じに思っている。
相手が喜ぶ=自分も嬉しい。
自分が相手に何かしてあげることで喜ばせようとするのは、相手に感謝されたいといったリターンをまだ期待している向きがあるが、そのうち自分の行為は関係なく相手の嬉しそうな様子、喜ぶ様子を見ているのが楽しくなる。
そういう人との関係を大事にしていくのが、当面は私にとっての「幸せ」だ。

*1:20、30代の女性は一時休業型(出産育児のために一旦仕事を辞め後、子供の手が離れたら復帰)を望む人が割合として多く、専業志向は減っている。統計には現れにくいのだが、新・専業主婦志向の人が一時休業型に紛れ込んでいる可能性が高いのではないかと思う。新・専業主婦志向とは90年代後半から徐々に現れてきたとされる志向で、相手に十分な収入を期待し、結婚と同時に仕事を辞め、出産して子供の手が離れたら社会と繋がり「自己実現」できるきれいなお仕事(フラワーデザイナーとかお菓子教室とか。決して家計を助けるためではないし、元の職種に戻って男性と同じ苦労をするのでもない)に就くというもの。家庭内のことに専念する普通の専業志向とは違うことに注意。

*2:これらをミックスさせている人も結構いる。例えば不釣り合いな理想像を追い求めずに気の合った女と恋愛、あるいは結婚し、たまには相手が望む通りの恋人か夫を演じてやり、二次元趣味は別腹でとっておいて、恋愛抜きでつき合える女友達も確保しておくとか。