2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

縮んでいく人

既に通い慣れたと言っていい感じになってきた老人介護施設の、父の入居しているフロアに上がり、この時間帯ならいるはずの食堂を覗くと、車椅子の父は見当たらなかった。部屋かな?と個室を覗いても、もぬけの殻。 おかしいなぁと食堂に戻りつつ、ふと今通り…

とてもささやかながら若松監督の思い出を

若松孝二監督が亡くなった。告別式の事務を取り仕切る東京の友人から夫のところに、通夜と葬儀の連絡が届いた。夫は仕事があって行けないので、別の友人と連名で花輪を出すことにした。 夫は映画業界の人間ではないが、若松氏とは二十数年来の知古だった。監…

「私、朝鮮の人になっていたかもしれない」と母は言った

実家に行ったら、母が昔のアルバムを見ていた。なんと、自分の幼少期からの年代ものである。 母は昭和12年(1937)生まれ。最初のページに、一つ上の姉と一緒に写っている2歳半の母の写真があり、その上にずっと後で父が母だけ引き伸ばした写真が貼ってあっ…

わたしの叔父さん

タイトルはジャック・タチの『ぼくの伯父さん』の真似です。 私の叔父は母の歳の離れた弟で、私より十歳上の63歳。タチのユロ伯父さんとは違い、既婚で、成人した子どももおり、仕事はしていなくて、別にオシャレでもない。‥‥が、ひょろりと背が高く、飄々と…

車椅子を押して

昨日、昼で終わった仕事の後、介護施設の父を見舞った。食堂のテレビのすぐ前に、車椅子に乗せられた父がいた。勝手に立とうとして転ばないようにシートベルトをされていた。声を掛けると、夢から醒めたような顔をして私を見、片手を上げた。 「今日は一人で…

非ヤンキーはヤンキーを語る

斎藤環先生の「ヤンキー文化」ツィート - Togetter 『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(角川書店、2012)で、ヤンキー文化論(という名の日本人論)の最前線に躍り出た感のある斎藤環。以下は、特に印象に残った斎藤先生のtweet。 ●地方の学校…

父が施設に慣れるまで

老人養護(介護)施設に入った人がその環境に完全に慣れるまでに、平均して一ヶ月くらいかかるという。しかし8月半ばに入所した父はいまだに気分の波が激しく、いろいろ問題行動を起こしているようだ。 それというのも、入所して10日、少し慣れ始めた矢先に…

「愛知ビエンナーレ」なんてありません

新著を読んでくれた知人から、メールで間違いを指摘された。「はじめに」の最初の方。 「P7、愛知も、ビエンナーレではなくトリエンナーレですよ(笑)。」 ぎゃーっ!! なんてこった!!!! あまりに堂々としたミスに3センチくらい飛び上がってしまった。 地元…