2019-01-01から1年間の記事一覧

母と息子だからこその展開、『母なる証明』(連載更新されました)

「シネマの女は最後に微笑む」第52回は、母と息子の密着関係が背後にある事件を前フリに、韓国映画の秀作『母なる証明』(ポン・ジュノ監督、2009)を取り上げています。 「最後に微笑む」のか???という作品ですので、大まかなストーリーを追いつつもラス…

『たちあがる女』/『天才作家の妻 40年目の真実』(連載2回分のお知らせです)

連載「シネマの女は最後に微笑む」の告知、一回飛ばしてしまった分も含めてまとめてお知らせします。 第50回は、グレタ・トゥーンベリさんよりずっと年上でずっと”過激”な環境活動家を主人公にした、アイスランドが舞台の映画『たちあがる女』(ベネディクト…

加害の引き受けと陥没のエレガンス/藤井健仁展テキスト

鉄を素材に彫刻を作り続けている藤井健仁の個展「ABJECTION X」が、来週から日本橋高島屋S.C.本館6階美術画廊Xにて開催されます。DMに掲載された拙文を、作家の了承を得てこちらに転載します。 ● 加害の引き受けと陥没のエレガンス 労働 アートと呼ばれるも…

なごやトリエンナーレについて『情況』2019秋号に寄せたテキスト

あいちトリエンナーレ2019と同時期に開催された「なごやトリエンナーレ」について、『情況』2019秋号の「あいちトリエンナーレ逮捕事件の真相 謎の団体を解剖する! なごやトリエンナーレ」というインタビュー記事の後に、論評「「なごやトリエンナーレ」へ…

オダギリジョーと西島秀俊の絡みが何気に素晴らしい『メゾン・ド・ヒミコ』(連載更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第49回は、2005年の邦画『メゾン・ド・ヒミコ』(犬童一心監督)を取り上げています。 全体に、ゆったりとした「行間」が取られ、そこで登場人物の心理を想像させるという日本映画らしい作り。…

なぜ毎晩同じ夢を見るのか?彷徨う二人の『心と体と』(連載更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする連載「シネマの女は最後に微笑む」第48回は、『心と体と』(イルディゴー・エニェディ監督、2017)を取り上げています。 深い森の中で寄り添う二頭の鹿/屠殺場で解体される血塗れの牛肉‥‥という対比的映像の鮮烈なイメージ…

プライドと理想が高く愛想と口が悪く世渡りの下手な一匹狼のすべての職業人に(連載更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする連載「シネマの女は最後に微笑む」第47回がアップされています。今回取り上げたのは、『ある女流作家の罪と罰』(マリエル・ヘラー監督、2018)。 様々な賞にノミネートされた佳作ですが、日本では劇場公開されてない模様。…

彼女はレイプ犯と何を「共有」したのか‥‥ 『エル ELLE』(連載更新されています)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第46回は、イザベル・ユペールが被害者然としないレイプ被害者を演じて話題になった『エル ELLE』(ポール・バーホーベン監督、2016)を取り上げています。 forbesjapan.com バーホーベンらし…

カジノに集まるアメリカ富豪の闇が興味深い『モリーズ・ゲーム』(連載更新されています)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第45回は、横浜市のカジノ誘致の件を枕に、ジェシカ・チャステインがカジノの経営者を演じた『モリーズ・ゲーム』(アーロン・ソーキン監督、2017)を取り上げています。 forbesjapan.com 実話…

「錆と骨」の方がずっといいタイトルだが邦題は「君と歩く世界」(連載更新されています)

先月下旬はお盆でお休みだったわけではないです。バタバタしておりまして、告知をすっかり忘れてました。 このブログ、連載のお知らせだけになったとは言え、また読んでいる方も少ないとは言え、一ヶ月も放置はよくないですね。すみません。 映画から現代女…

安全な道より冒険に賭けたら肚を括らねばならぬ(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

連日お暑うございます。 映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第43回は、近年相次ぐ重要公文書の改竄、紛失の件を枕に、2017年の話題作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を取り上げています。 「継承か革新か」正義を前に揺…

スカッとする犯罪コメディで暑気払い(「シネマ〜」更新されました)

あまりの暑さにボンヤリしていて、こちらでの告知を忘れておりました。。 映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第42回は、2008年の犯罪コメディ『デンジャラスな妻たち』(カーリー・クーリ監督)を取り上げています。原題は『Mad …

樹木希林の台詞に隠された深い含蓄を上等なお茶のように味わう『日日是好日』(「シネマの女は最後に微笑む」第41回更新)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最期に微笑む」第41回は久々の邦画です。 キム・カーダシアンの例のKIMONO騒動を枕に、着物、お茶つながりで樹木希林と黒木華が共演した『日日是好日』(大森立嗣監督、2018)。 今わからなくてもいつかわか…

シャーリーズ・セロンのプロ根性に驚く(「シネマの女は最期に微笑む」更新されてます)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最期に微笑む」第40回は、シャーリーズ・セロン主演の『タリーと私の秘密の時間』(ジェイソン・ライトマン監督、2018)。 ワンオペ育児の苦境を、主婦はどうやって乗り切ろうとしたか - ForbesJAPAN タリー…

007以外でのジュディ・デンチの魅力を堪能(「シネマの女は最期に微笑む」更新されました)

『シネマの女は最後に微笑む」第39回は、年金破綻を政府自らが認めた例の件を枕に、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(ジョン・マッデン監督、2012)を取り上げてます。2も作られているヒット作。 新天地で自分を生かす、勇気ある老女の「第二の人…

現代ロシアの階層差を静かに告発する『エレナの惑い』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

告知遅れました(←いつものこと)。。 映画から現代女性の姿をピックアップする映画レビュー第38回は、アンドレイ・ズギャビンツェフ監督の『エレナの惑い』(2011)を取り上げています。現代ロシアの階層差や性差の生む問題を、一人の中高年女性の”許されざ…

「間違ったバスに乗っても正しいところに着く」(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第37回は、『めぐり逢わせのお弁当』(リテーシュ・バトラ監督、2013)。 「弁当」をめぐる手違いが妻に与えた不安と勇気 | ForbesJAPAN めぐり逢わせのお弁当 DVD 出版社/メーカー: 東宝 発売…

男も女も「女」を愛する(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

こちらでのお知らせ、また数日遅れです。。映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第36回は、フランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』(2014)を取り上げてます。原題は「新しいガールフレンド」という意味。邦題はやや内…

戦争のトラウマが女にもたらしたもの‥‥『サラエボの花』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第35回は、『サラエボの花』(ヤスミラ・ジュバニッチ監督2007)。シングルマザーと思春期に入った娘との関係性を通して、90年代前半に起こったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の大き過ぎ…

イタくてキュートな松岡茉優を100%堪能する(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

卑近な事情で、こちらでは数日遅れての告知です。映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第34回、更新されました。今回は、松岡茉優がヒロインを好演して話題となった『勝手にふるえてろ』(大九明子監督、2017/原作:綿矢りさ)。 …

排外主義のテロはテロの名に値しないがそれはさておき(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第33回は、先日の東京マラソンのテロ警戒ぶりを枕に、ドイツ映画『女は二度決断する』(ファティ・アキン監督、2017)を取り上げています。主人公が「最後に微笑」まないのですが、超絶重い内…

先駆者への敬意と小さな挑戦を描く『ジュリー&ジュリア』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第32回は、最近話題になった「プロヒッチハイカー」中学生や「バイトテロ」などSNSで表面化した件を枕に、エイミー・アダムスとメリル・ストリープがダブルヒロインを演じた『ジュリー&ジュリ…

幸福と栄光は両立しないのか・・・『スタア誕生』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

お知らせが遅れてしまいました。ForbesJAPANに好評連載中の「シネマの女は最後に微笑む」第31回は、『アリー/スター誕生』のアカデミー賞ノミネートの話題を枕に、ジュディ・ガーランド主演の1954年版『スタア誕生』を取り上げています。映画業界が舞台です…

Loftの広告、炎上から取り下げまでで思ったこと

※この数日のツイートをそのまま並べた(横道にそれたもの、言及先のあるものは除く)。 ●広告に批判 Loftのバレンタイン特設ページが炎上気味と聞いて見てみたが、特別厭な感じは受けなかった。ただ、全体のセンスが何となく古臭い。女芸人が女子あるあるネ…

おばさん×青年、移民×旅行者、異邦人×異邦人の物語(「シネマの女は最後に微笑む」第30回更新)

映画から現代女性の姿をpickupする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」第30回は、アルゼンチンを舞台にした『オリンダのリストランテ』(パウラ・エルナンデス監督、2001)を取り上げました。 一見地味な風合いの作品ですが、観ているうちにじわじわと、…

安藤サクラの記念碑的作品『百円の恋』を改めて観る(「シネマの女は最後に微笑む」第29回)

こちらでのお知らせ、数日遅れてしまいましたが。。 映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第29回は、安藤サクラが数々の主演女優賞に輝いた『百円の恋』(武正晴監督、2014)を取り上げました。話の枕は、この間炎上した西武・そご…