2014-01-01から1年間の記事一覧

WEB連載更新。「承認」を捨てる女。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」が、更新されました。 今回は、2002年のアメリカ映画『めぐりあう時間たち』(スティーブン・ダルドリー監督)を取り上げています。 めぐりあう時間たち [DVD]出版…

「芸術鑑賞法」と「既知の器」

「好き」「嫌い」を越えた芸術鑑賞法があるとしたら - (チェコ好き)の日記 自分のブコメ。 [アート]「自分の人生に真摯に向き合って」「生涯をかけて」「あなただけのために作られた作品」を見つけ出せって。修行して心眼を鍛えろみたいな。コツコツ美術史勉…

タロと猫

散歩の途中で猫と目が合った。 逃げられた。 興味しんしん。 怒られた。 いたよ!猫、いたよ! また逃げられた。 タロ、もう諦めよう。 猫はおまえのこと、好きじゃない。

『Journalism』に寄稿しました。

発売中の月刊誌『Journalism』12月号(特集:「女性が輝く社会」を阻むものは?)に寄稿しています。 以前、当ブログでも書いたことのある、日本版「ハウスワイフ2.0」現象についてです。このお題で朝日新聞社系列の雑誌から依頼されたのは、『AERA』6月16日…

冬の蝶

新潟に単身赴任中の夫が先週の頭から、「ずっと強風で氷とみぞれが降ってる」「めちゃくちゃ寒い」「雪降ってる」「積もりそう」「とにかく寒い」と、何度もメールや電話をしてくるので、「そりゃ寒い地方に行ったんだから寒いのは当たり前でしょ」と思いつ…

中年女性の嵌っているもの

40〜50代の女性の嵌りやすい趣味と心理について少しまとめて書く必要があって、小手調べに大学の講義でアンケートを取ってみた。「皆さんのお母さんが今嵌っていること、夢中になっていることは何か、教えて下さい」と(回答は自由)。母親ではなくても親戚…

WEB連載更新。カウリスマキ監督の『浮き雲』。

WEBスナイパー(18禁)に連載の映画エッセイ、更新されました。 「あなたたちはあちら、わたしはこちら」第八回 寡黙な女 今月半ばに亡くなった高倉健は日本独特の無口なヒーロー像を確立した俳優でしたが、無口且つ普通の人を描いて右に出る者のいない監督…

病院で

一晩ぐっすり寝ると大抵スッキリする軽めの頭痛が、この半月ずっと尾を引いていたので病院に行った。その時に少し気になったことを書く。 いつも行く病院ではなく、頭痛外来のある初めてのところ。受付で、症状についての細かい項目の並んだアンケート用紙に…

美大生の関心、山脈地形図、砂漠のオアシス

最近Twitter上で気になった、美大生に関する呟き。 そういや、先週末のゲンロンカフェのあとのバータイムで、美大生の関心の幅が狭くなってきていて、マンガなどのサブカルチャーに関心を示さないひとが目立つ的な話をきいた。— 伊藤 剛 (@GoITO) 2014, 11月…

好きなアーティスト、嫌いなアーティスト2

昨年に引き続いて、地方の某私立芸大で持っている講義の中で、「好きなアーティスト、嫌いなアーティスト」のアンケートを取ってみた。 美術学部18人、デザイン学部38人。男女比は女子が8割強を占める(大学全体でも女子割合は7割くらいか)。 「美術、あ…

喫茶店の朝

数日の休みを取って単身赴任先から帰ってきていた夫を早朝、小牧空港まで送っていく途中。ちょっと早く出過ぎたので、どこか喫茶店に寄ってコーヒーでも飲もうということになった。 繊維が栄えていた頃に全国から女工さんが集まっていたせいで、昔から喫茶店…

WEB連載、更新されました。イラストは一挙に三人登場。

WEBスナイパー(18禁)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第七回 闘う女がアップされています。 映画の中では、たくさんの女性が実にいろいろなものと闘っています。その多くは強大な力、端的に言えば「男」なるもの。「男」の世…

河童と猪口

父は歳を取ってから骨董に嵌り、一時期ずいぶんたくさんの皿やガラス器などが家にあったと、後で母から聞いた。 ガレやドームの小品がいくつかあるのは見ていたが、実家に行ってもそんなコレクションの話は出なかったので、私は父の骨董狂いを長い間知らなか…

高架下

夕方、高架下の道を走っていたら、ゴシック教会の入り口があったので車を停めてスマホで撮った。 グレゴリオ聖歌が聴こえてきそう。 斜めから見たところ。東海北陸自動車道。愛知県一宮市の北あたり。

才能と処世術 (togetter「自由業の40歳の壁」を読んで)

自由業の40歳の壁 - wall of around 40*s - by竹熊健太郎氏 サブカル系のフリーライターは40歳越えると仕事がだんだん減ってくる、という話。以下tweetを抜粋して感じたことなど。 「サブカルは40歳越えたら鬱になる」というのは正確でない。「自由業は40歳…

音漏れの加齢臭

昔、大平正芳という政治家は、発言の中でやたら「あーー」とか「うーー」を挟むので、あーうー宰相と呼ばれていた。あーうーを除いたらもっとイライラせずに聞けるし発言時間も短くなるのにと、みんなが思っていた。 今はあんなふうにあーうー唸りながら答弁…

秋の日、消えていくもの

休みの日の朝、犬を車に乗せていつもの川辺に行った。川沿いに細長く延びる緑地公園。先週は満開だった彼岸花も終わり、木陰に入ると空気がひんやり冷たい。一人二人、散歩の人がいる。 川辺の砂地に降りた。10ヶ月になったこの犬にとっては、初めて踏む水辺…

WEB連載、更新されました。テーマは「優しい女」。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第六回がアップされています。今回は邦画です。 前半で取り上げたのは、『流れる』(成瀬巳喜男監督、1956)。芸者置屋の女たちの表と裏を描いた文句なしの傑作…

彷徨う着物

6月末に他界した義母の大量の着物を、一ヶ月後に形見分けした話を以前書いた。 形見分け 最初、そんなに早く整理しなくても、少しずつゆっくりやっていけばいいのに‥‥とは思った。しかし義父はその時、一刻も早く義母の持ち物を片付けたがっており、私が衣…

『舞妓はレディ』を観てきたんどす。

んー、そうどすなぁえ。周防監督ん久々んエンターティメントちゅうことで、期待し過ぎたんかもしれまへん。面白おへんどしたちゅうわけおへんどすけど、昔『Shall we ダンス?』や『シコふんじゃった。』を観た時ん笑いや感動には、残念もって届きまへんど…

母と「タキさん」

夢見られた親密圏・・・『小さいおうち』感想 DVDを観てから原作も読みたくなって、遅ればせながら文庫で読んだ。引き込まれて一気に読了。映画で省略されていた戦前の東京の風景、当時の市井の人々の意識や感情。生活の細部描写もさすがに映画より詳細。 こ…

「50過ぎたら楽になるわよ」の真実

40歳前後の頃、50代の女性に「50過ぎたら楽になるわよ」と言われたことがある。 彼女たちは私が持っていた一般人対象の美術系講座の生徒さんで、当時53〜54歳くらい。皆さんとても明るく楽しそうでエネルギッシュで、「私より全然元気だな〜」といつも感心し…

夢見られた親密圏・・・『小さいおうち』感想

今年1月から2月にかけて公開されていた『小さいおうち』をDVDで。原作は未読。小さいおうち [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2014/08/08メディア: DVDこの商品を含むブログ (29件) を見る 「寅さん」シリーズのイメージが強いせいか、ほっこり系エンタ…

WEB連載更新されました。「恋する女」。絵はキャサリン・ヘップバーンです。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の、映画に描かれた中年以上の女性を取り上げるシリーズ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」、第五回がアップされています。今回のテーマは恋愛。 中年女の恋愛ドラマというと、日本では一時期「失楽園」的不倫ものば…

四人の親が二人になったところで、改めて介護問題を考えたけど。

俺「あの、そちらの老人ホームに空きありませんか?」:キニ速 有料老人ホームより割安なために何年も入居順番待ちの特別養護老人ホーム、3Kで離職率が高く慢性的に人手不足の介護業界、そして親の在宅介護は独り身にとって地獄‥‥という話。 長女の私は一人…

初盆

亡き父が葬式仏教が嫌いだったせいで、私は子供の頃からお盆の行事とほとんど無縁に過ごしてきた。祖父たちの墓に参ったのも何十年か前。家に仏壇もない。 今年は6月末に義母が亡くなり、初盆となった。朝から夫と義父宅に行く。買ったばかりの仏壇の横に、…

形見分け

「形見分け」というと思い浮ぶのは、小津安二郎監督『東京物語』の有名なシーンである。 年老いた母の葬儀が終わって、家族が食事をしている。長男と共に東京から来た長女志げが突然、実家暮らしの次女京子に形見分けの話を振る。 「ねえ京子、お母さんの夏…

葬式ビジネス

6月末に義母が急死し、仏式の葬儀を上げた。初七日を葬儀の日に行い、翌週から七日ごとにお坊さんが来てお経を上げている。夫の実家にいるのは義父一人なので、いつも私が同席する。 毎回、お経の本を手渡され、「はい、では11ページを開いて下さい。3回繰…

WEB連載、更新されました。ティルダ・スウィントンwithエズラ・ミラーです。

WEBスナイパー(18禁)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第四回が更新されました。ティルダ・スウィントンとエズラ・ミラーが親子を演じた異色作『少年は残酷な弓を射る』(リン・ラムジー監督、2011年)を取り上げています。…

男への恨みと母性愛と「世界は私たちのもの」‥‥『マレフィセント』感想

ジブリの『思い出のマーニー』が今日から公開で、これから次々レビューが出て盛り上がろうとしているこのタイミングだが、あんまり盛り上がってない(気がする)『マレフィセント』の感想を。 三ヶ月前、「アナ雪」の感想記事の追記に書いたこと。 ついに悪…