2018-01-01から1年間の記事一覧

ドヌーヴの貫禄と多面的な魅力が光る『ルージュの手紙』

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第28回は、カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが共演した『ルージュの手紙』(マルタン・プロヴォスト監督、2017)を取り上げています。原題は『Sage femme』(助産婦)。 セーヌの流れに…

共同体によって殺され、共同体によって生かされる(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする連載「シネマの女は最後に微笑む」第27回は、アメリカ移民の格差問題を枕に、2010年の『ウィンターズ・ボーン』を取り上げてます。ジェニファー・ローレンスがヒルビリー(スコッチ・アイリッシュ系移民)の少女を演じて注…

イカれたヴァレリア・ブリーニ・テデスキが最高に輝いている(「シネマの女は最後に微笑む」第26回、更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第26回は、イタリア映画『歓びのトスカーナ』(パオロ・ヴィルズィ監督、2016)を取り上げてます。 束の間でも「今、ここ」で生きる歓びを ワケありな二人の逃走劇 | ForbesJAPAN 歓びのトスカ…

トランスジェンダー女優ダニエラ・ベガの歌に震える(「シネマの女は最後に微笑む」第25回、更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第25回は、トランプ大統領が先月示したトランスジェンダーを実質排除する方針のニュースを枕に、『ナチュラルウーマン』(セバスティアン・レリオ監督、2017)を取り上げてます。 恋人の死によ…

チャウシェスク政権下の女子大学生に現代を透かし見る(「シネマの女は最後に微笑む」第24回更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする連載「シネマの女は最後に微笑む」第24回は、『4ヶ月、3週と2日』(クリスティアン・ムンジウ監督、2007年)を取り上げています。 人口増加を目指して中絶が禁止されたチャウシェスク時代のルーマニアで、友人の違法中絶…

清濁合わせ呑んで闘う女の新しい描き方『女神の見えざる手』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

現代女性の姿を映画からピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第23回は、ジェシカ・チャステイン*1主演の『女神の見えざる手』(2017)を取り上げてます。銃規制をめぐる敏腕ロビイストの暗躍を描くサスペンス。 何のために働き、闘うのか? 非情な…

育ちのいい小金持ちマダムをベタだが爽快に演じて成功(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

現代女性の姿を映画からピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」第22回は、『しあわせの隠れ場所』(2009、原題はThe Blind Side)を取り上げてます。 困った人がいたら助けること 行動派セレブマダムの自信と誇り| ForbesJAPAN しあわせの隠れ場…

ヒロインとともに旅する映画『わたしに会うまでの1600キロ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第21回は、リース・ウェザースプーン主演の『わたしに会うまでの1600キロ』(2014、原題は『Wild』)。メキシコ国境からカナダ国境に至る長距離自然歩道を、一人でハイクした女性の実話が元に…

トークライブ登壇のお知らせ

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018に関連して、東北芸術工科大学で行われる展覧会の関連企画トークライブに登壇します。 AGAIN-STという彫刻を考える集団の一人で、学芸員の石崎尚さんからオファーを頂きました。今回は「カフェと彫刻」がテーマだそ…

長女の業と毒母エネルギーの向かう先(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)。

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第20回は、メリル・ストリープとジュリア・ロバーツが母と娘の壮絶極まる応酬を繰り広げる『8月の家族たち』(ジョン・ウェルズ監督、2013)を取り上げました。女系家族の長女から長女へと継…

「幸せのかたち」は異性愛者と同じなのか、違うのか(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

現代女性の姿を映画からピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第19回は、杉田水脈氏のセクマイ差別を含むテキストから広がった波紋を枕に、『キッズ・オールライト』(リサ・チョロデンコ監督、2010)を取り上げています。 異性愛者と変わらない、同…

シミジミした味に毒の仕込まれた『すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

現代女性の姿を映画からpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第18回がアップされています。 先月末、物議を醸し批判を呼んだ自民党二階幹事長の発言を枕に、3人の30代独身女性の生活と心情を淡々と描いた邦画『すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん』(御…

『ヘドウィグ&ザ・アングリーインチ』を通して、「女」について考える

ForbesJAPANに好評連載中の映画コラム「シネマの女は最後に微笑む」第17回が公開されています。 女とは一体何なのか? 「自分のかたち」を探すトランスジェンダーの旅 | ForbesJAPAN 先日の、お茶の水女子大のトランスジェンダー受け入れのニュースを枕に、…

不法移民問題に揺れる今こそ観るべき『フローズン・リバー』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

ForbesJAPANに好評連載中の映画コラム「シネマの女は最後に微笑む」第16回が公開されています。 不法行為への追いやられる貧困の中の、ささやかな絆と倫理 | ForbesJAPAN フローズン・リバー [DVD]出版社/メーカー: 角川映画発売日: 2010/12/10メディア: DVD…

プリンセスもののセルフパロディ『魔法にかけられて』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

昨夜は東海道新幹線で恐ろしい事件がありましたが、後続の便に乗っていた関係で巻き込まれるかたちになり、夜中というか朝方の3時半にやっと家に辿り着いた大野です。一日遅れで連載「シネマの女は最後にほほえむ」更新のお知らせを。 ディズニーのミュージ…

ジュリア・ロバーツの真骨頂を再確認、『エリン・ブロコビッチ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」第14回。ジュリア・ロバーツが数々の主演女優賞に輝いた『エリン・ブロコビッチ』(スティーブン・ソダーバーグ監督、2000)を取り上げてます。学歴もキャリアもない女性が企業の不正…

職場のセクハラ問題を丁寧に描いた佳作『スタンドアップ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」第13回。ここのところずっと問題になっていた財務省元事務次官のセクハラ疑惑を枕に、シャーリーズ・セロン主演の『スタンドアップ』(2005)を取り上げました。 「皆と同じように働…

アートをめぐる権力関係と搾取‥‥『ビッグ・アイズ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」、第12回がアップされています。今回取り上げた映画は、実話を描いたティム・バートン監督『ビッグ・アイズ』(2014)。アラーキーのモデルだったKaoRiさんの告発の件を枕に書き起こ…

妊娠・出産・子育て映画のリアリティ、『理想の出産』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」、第11回がアップされています。 妊娠、出産、子育て 翻弄される心身とパートナー関係の行方 | ForbesJAPAN 今回は、実話を元にした2012年のフランス映画『理想の出産』(原題はUN H…

『紙の月』の主人公と総理夫人の共通点について考えた(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム第10回、今回は宮沢りえ主演でかなり話題になった『紙の月』(吉田大八監督、2014)を取り上げました。 森友問題で渦中の人である総理夫人、安倍昭恵氏についての短い考察を冒頭に置いています。 「ありが…

ピカピカの青春映画の中の大人の女たち・・・『ローラーガールズ・ダイアリー』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」、第9回が公開されています。 闘いながら少女を先頭へと押し上げる、タフな女たちの気概 | ForbesJAPAN ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオ…

自分のためだけに生きるか他人と共に生きるかを問う『マーサの幸せレシピ』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」、第八回が公開されています。 完璧主義で人間嫌いな女性シェフが、試行錯誤の果てに見つけた人生 | ForbesJAPAN マーサの幸せレシピ [DVD]出版社/メーカー: 東芝デジタルフロ…

ケイト・ブランシェットの「手負いの雌ライオン」ぶりに胸がシクシクとなる『ニュースの真相』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第7回が公開されてます。 真実とデマの間で抗った女性ジャーナリストの最後のプライド | ForbesJAPAN 今回取り上げたのは、2016年のアメリカ映画『ニュースの真相』。2004年の米大統領…

キャリア優先の娘と専業主婦の母の葛藤を描いた『母の眠り』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第6回が公開されてます。 今回取り上げたのは、1998年のアメリカ映画『母の眠り』。メリル・ストリープとレニー・ゼルウィガーが親子を演じています。 介護と離職、葛藤を通じて見直さ…

仕事と生活ののっぴきならなさを描いた『サンドラの週末』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第6回、更新されました。 今回取り上げたのはベルギー・フランス・イタリア合作映画『サンドラの週末』(2014)。マリオン・コティヤールがアカデミー賞主演女優賞にノミネート、他数々…