2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

アートの幻想 --- 4. 受動性のアート

1. 資本主義カルチャーとしてのアート 2. 消費としての芸術体験 3. 忘却による反復 4. 受動性のアート 今「アート活動を行う」とは、アートを更新していくことではない。それはもうあらかじめ、すべてを受容し差異化していくアートの中に書き込まれている。 …

アートの幻想 --- 3. 忘却による反復

1. 資本主義カルチャーとしてのアート 2. 消費としての芸術体験 3. 忘却による反復 私が現代アートに興味を持ち続けてきた理由の一つは、それが自らを定義付けできないもの、あらゆる事象を受け入れ続けるものという点で、非常に特異だということだった。こ…

アートの幻想 --- 2. 消費としての芸術体験

1.資本主義カルチャーとしてのアート 2. 消費としての芸術体験 愛知県の豊田市美術館に、ヴォルフガング・ライプの展覧会を見に行った時の体験について書く。 ライプのそのインスタレーションは、長い時間をかけて彼が野山を歩き回り、さまざまな花から少し…

アートの幻想 --- 1. 資本主義カルチャーとしてのアート

10、デュシャン 現代芸術ってやったもの勝ちであることに早々に気づき、かつそれを自虐的に利用して「やったもの勝ち」の領域に堕すことの無かった奇才。以後の芸術家は、「美術史は第一世界大戦で終了しました」と言って憚らない自分の目から見れば、美術…

高橋氏とのブコメ議論まとめ

例の首都大の学生のやった件で、この数日、id:NaokiTakahashi氏(以下、高橋氏と表記)とのブコメ議論があちこちで長引いた。 個人的には、被害者の受けた苦痛と屈辱の前には、こんなアート論議などどうでもいいものだと思っているし、この事件についてアー…

プロとアマ、場所とお金と人の話‥‥‥月見の里学遊館のシンポジウム

先週お知らせしていたこのシンポジウムに出るために、この間の日曜日、静岡県は袋井市の月見の里学遊館に行ってきた。その時の模様をつらつらと。 しょっぱなから、掛川駅でこだまを降りて東海道本線に乗り換えるのにボーッとしていて反対方向に乗ってしまい…

お知らせ

今週末に、静岡県袋井市にある月見の里学遊館というところで、トークセッションに出ます。以下、月見の里学遊館HPより。 6/13(日) 月見の里自由大学シンポジウム 誰もが自己表現できる時代に、アーティストに残された役割とは? 13:00〜14:30 パネリス…

講評会

前記事に続いてデザインや美術学校関係の話。 美術、デザイン系の学校の生徒は、それ以外の学校の生徒がほとんど体験しないある「試練」を日常的に科せられる。 それは、衆目の中で作品を他人と比較され、批評されるということだ。 音楽だと順に演奏し、演奏…

ゲシュタルト崩壊する立方体

デザイン専門学校で受け持っているデッサンのカリキュラムの中に、幾何形態がある。立方体、円柱、円錐、四角錐、三角柱、球‥‥。誰でも大抵一度は描かされるモノだ。 セザンヌの有名な言葉で「自然界にあるのは円柱と円錐と球だ」というのがあるが、デザイン…