2016-01-01から1年間の記事一覧

世代も価値観も社会的立場も違うけれど‥‥(『グッドナイト・ムーン』)

サイゾーウーマンの連載映画レビュー「親子でもなく姉妹でもなく」最終回は、『グッドナイト・ムーン』(クリス・コロンバス監督、1998)を取り上げました。 既婚/独身、専業主婦/仕事女の分断と希望を描く『グッドナイトムーン』 グッドナイト・ムーン [D…

「教えて下さってありがとうございました!」と「悪いということを知らなかったんだから」

大学の授業内で時々ミニレポートを書かせ、その提出をもって出席票に替えている。その日、家に帰って80人あまりの学生のミニレポートを読んでいたら、ほぼ同じ内容のミニレポートが続けて四枚出てきた。内容もそっくりなら書体もまるでそっくり。すぐに、こ…

トークセッションのお知らせ

今月17日(土)、静岡でトークセッションに参加します。静岡県芸術祭の関連イベントです(なんか最近、静岡づいています)。 以下は、チラシ文面の書き起こし。 第56回静岡県芸術祭 ふじのくに芸術祭2016 大野左紀子 × 大岡淳 トークセッション 「誰でも表現…

連載エッセイ「絵を描く人々」更新されました。今回は「ヘタウマ」。

絵を描く人々 第8回 ヘタウマの功罪 - WEBスナイパー 「ヘタウマイラストは、サブカル周辺から出てきた。むしろサブカル=ヘタウマくらいの勢いだった。」(本文より) ということで、振り返る70年代末〜80年代。美術を志してウマウマを目指す路線に乗ってし…

女が愛するのは女––––連載映画レビュー更新

「親子でもなく姉妹でもなく」第11回目に取り上げるのは、2014年の日本映画『小さいおうち』(山田洋次監督)。以前にここで上げたレビュー記事に加筆し、まとめ直しました。戦前パートの時子とタキの関係性に絞って書いています。 女が本当に好きなのは男で…

雨宮まみさんについてのとても個人的な覚え書き

急逝されたのをネット上で知ってから鉛の塊を呑み込んだような気分になっているこの数日、関連の記事のブックマークやtwitterに断片的に書いていたことを、少しまとまった文章にしておきたいと思う。 1976年生まれの雨宮さんより私は一回り以上も上の世代で…

「嫌悪感の表明」と「相互理解」の間

最近話題になっていた、セクシュアルマイノリティへの施策をめぐる千葉市長の一連のTweet(わかりやすくするため番号を振った) 1先ほど定例記者会見で、性別が同一である者とパートナーシップを形成している職員が介護休暇や、結婚休暇に相当するパートナー…

ついに自画像を描いてしまった‥‥/連載エッセイ更新のお知らせ

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の「絵を描く人々」第7回です。これまでの関連ブログ記事を再構成して組み込み、大幅に加筆しています。 絵を描く人々 第7回 自画像と似顔絵をめぐって - WEBスナイパー 子どもの頃から、人の顔を描くのが大好きでした…

何かを始めるのに歳は関係ない––––映画レビュー更新(『マルタのやさしい刺繍』)

老女の夢を二人三脚でかなえる年下の女――年齢を越えた関係を描く『マルタのやさしい刺繍』 タイトルからほっこり系かと思いきや、あちこちに皮肉も効いた結構骨太の作品です。 女性下着制作の高度な技術を持っている老女が、ランジェリーショップを開こうと…

「理想」と「欲望」は切り分けできないし、「萌え絵」は「日本美術」ですよね(どっちかというと)

「萌え絵」が批判されるのは歴史がないからじゃない - 最終防衛ライン3 結論が最初の方に書かれている。 「萌え絵」も「理想」のひとつであろう。「萌え絵」が批判されるのは、誇張表現だからだし、誰かにとっては「理想」ではなく「欲望」にしか見えないからだ。現在「芸術…

「エロいかどうか」より「御しやすそうに見えるかどうか」では

‥‥‥と思うのだけど。エロばかりに焦点が当たっているのに違和感がある。 左は炎上しなくて右がエロいと炎上する意味がわからない。 pic.twitter.com/pY2P1q6eL1— Sugano Yoshihisa(E) (@koshian) 2016年10月17日 https://twitter.com/koshian/status/7880956…

地面に絵を描き、そこに入ること

数日前にTwitterで見た一枚の写真が、頭から離れない。RT@lostdope: 孤児院にて、イラク人芸術家によって撮影された写真。戦争で母を失い、寂しさのあまり母の姿を地面に描き、その中で眠りに落ちた女の子。。胸が切り裂かれる思いです。 pic.twitter.com/wP…

花を踏む

開催期間も残り少なくなったあいちトリエンナーレ。8月に一度新聞の取材で回っているが、今日は友人たちと。 愛知県美術館10Fに展示の大巻伸嗣のインスタレーション。カラフルな顔料(鉱物の粉末)を用い、ステンシルの方法で作られた万華鏡のような花や鳥…

連載更新のお知らせ二つ

後期の始まり第一講目から、授業の時間を間違えるという大ポカをして落ち込んでいる大野です。初対面の100人の学生さんに平身低頭‥‥。おまいさん何十年この仕事してんだよ。 webの二つの連載が更新されていますので、お知らせします。 大人の女の「友だち地…

トークでの質疑「今なぜダブルヒロインなのか?」

トーク:ダブルヒロインの「距離」 - 前半の記録 トーク:ダブルヒロインの「距離」 - 後半の記録 トークの後で質問が幾つか出ました。その中で、トークの中で話したことをもう一度丁寧にお話するかたちになったものは、ここでは省きます。以下は、一人の女…

トーク:ダブルヒロインの「距離」 - 後半の記録

トーク:ダブルヒロインの「距離」 - 前半の記録 17日に静岡市のスノドカフェ七間町で行われたトークイベントの、私の喋りの続きです。 後半のトーク 後半は、小津安二郎の作品を例にとって考えます。 小津安二郎と言えば、戦後の作品、たとえば「東京物語」…

トーク:ダブルヒロインの「距離」 - 前半の記録

去る17日に、静岡市のオルタナティヴスペース「スノドカフェ七間町」で行ったトークイベント「ダブルヒロインの「距離」」の、私の喋りの記録です。 当日録音はしていませんでしたが*1、家で原稿を作成し、時間内に話しきれるかどうか何度かリハーサルをして…

トーク<ダブルヒロインの「距離」>のお知らせ

※9/17までこの記事がトップに来ます。 ※9/19追記/無事終了しました。地元の皆様も遠くからお越し下った皆様も、どうもありがとうございました! (ちらし・表) メディアひろば_vol.2 トーク:「ダブルヒロインの「距離」 近年、従来のヒロイン物語に替わっ…

きものの衣替えルールに囚われたくない

今朝、こんなtwitterを見た。 最近、わりと真剣に思うのだけど、着物業界はそろそろ新しい衣替え基準を作って周知したほうがいい。九月に入り、旧来の慣習ではすでに浴衣はNG、着物は秋単衣だけど、今のお彼岸までの気温は昔の盛夏をしのぐ勢いなのだから、…

連載エッセイ「絵を描く人々」第5回のお知らせ

絵を描く人々 第5回 人体デッサンのハードル WEBスナイパー(18禁サイト/本エッセイは18禁ではありません)に好評連載中の「絵を描く人々」、今回のテーマは「人体を描くこと」です。当ブログ過去記事の幾つかを手を加えて入れています。 画家や彫刻家を目…

連載映画レビュー第八回は、2014年の韓国映画『私の少女』

サイゾーウーマンに連載中の『親子でもなく姉妹でもなく』、第八回がアップされています。 リスキーだとわかっても、少女を愛する決断をする女――『私の少女』の“災厄としての愛” 『私の少女』(チョン・ジュリ監督、2014)。この連載では初めて取り上げた韓…

高畑淳子、そして母が息子に足を掬われること

女優・高畑淳子の息子で俳優の高畑裕太の起こした強姦致傷事件に関して、「親の責任はどこまで問われるのか」という話が連日メディアに出ている。 私には子どもがいないので、年頃の子どものいる友人たちに聞いてみると、異口同音に「22で世間では大人だと言…

虹色ポンチョのワルツ、文鳥のお宅訪問––––あいちトリエンナーレ2016

昨日、開幕して一週間のあいちトリエンナーレに某新聞の取材で行ってきた。幾つかの作品の見どころをガイドするという記事。 本当は一度全部観ておいてから行く方がよかったのだが、お盆の間はプライベートな用事で動きが取れなかったので、公式ガイドブック…

連載エッセイ「絵を描く人々」第4回のお知らせ

絵を描く人々 第4回 「美大受験狂想曲」- WEBスナイパー WEBスナイパー(18禁サイト/本エッセイは18禁ではありません)に好評連載中の「絵を描く人々」、今回は美大受験生のほとんどが通り抜けるデッサンについてです。 なぜ日本の芸大、美大では石膏デッ…

ゴマのお汁粉と甘酒

「昔は、夏に冷たいお汁粉を食べたのか」と、今日の『とと姉ちゃん』を見て思った。 女学校時代、『元始、女性は太陽であった』に感動し、大学進学して出版の仕事に就いた鞠子は、自分より若い世代に同じような言葉を届け鼓舞したいと、平塚らいてうに原稿執…

小池百合子

TV

「ウンコ味のカレーかカレー味のウンコを選べと言われてるみたいで、都民は大変だなー」などと人ごとで見ていた東京都知事選のニュースが、ようやく一段落した模様。 インタビューに答える新都知事の映像に、ずっと前、その人についてチラッと書いたことを思…

映画レビュー『親子でもなく姉妹でもなく』第七回がアップされています

サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー、今回は、新潟の造り酒屋を舞台にした宮尾登美子の小説が原作の『藏』(降旗康雄監督、1995)です。 「文化」という階級が女を苦しめる? 『藏』に見る、女たちが手を取り合う困難さ 母親を失い盲目となった蔵元の一…

1949年のビフォーアフター、リンゴ箱の記憶

東京新聞:「ビフォーアフター」工事代払って 建設会社がTV局提訴へ:社会(TOKYO Web) 以前、建築士の知人から、たまにトラブルがあるらしいという話を聞いたことはあった。今回は建設会社が「被害」に遭っているようだが、後で施工主の方から不満が出て、元…

電車の中で

仕事の帰り、夕方のラッシュで混み始めたJRの四人掛けシートに運良く座れた。 前の席は若い女性と、週刊誌を読んでるサラリーマン風の男性。 そして隣は、まだ2ヶ月くらいの赤ちゃんを抱っこ紐で前に抱え、さらに大きめの手荷物を持ったお母さん。 スマホを…

ウンチに罪はない

多くの愛犬家がそうしているように、私も散歩の途中で犬のウンチを片付ける。 片付け方は人によって様々だろう。サッと犬のお尻の下にシートを敷いて、そのまま包んでウンチ用のビニール袋に入れる人。スコップか何かでウンチを掬い、袋へ入れる人。ビニール…