飼い猫とお別れしてから「病気」になり、通販サイトで猫グッズをポチりまくっていた話を前に書いた。
そのうち「こんな状態いつまでも続けてたらあかんわ、猫廃人だわ‥‥」という気持ちが起きてきて、「ややお値段の張る上等な猫グッズを買って、終わりにしよう。思い残しのないように」と決めた。変な理屈だが気にしない。
そこで思い出したのが(「猫グッズ」とは少し違うが)、子猫がシャツのポケットから顔を出している超リアルな刺繍でネットでも話題になっていた、奈良の刺繍アーティストGo!Go!5のhirokoさん。
あの、猫の刺繍のシャツを作ってもらおう。うちにいたタマと同じキジトラのモチーフで。タマが胸のポッケからひょこり顔を出してるシャツ‥‥‥想像しただけでドキがムネムネ!
と思ったらいてもたってもいられず、早速メールで注文したのが一ヶ月ちょっと前。ネットや雑誌などで紹介されてからかなり注文がたて混んでいるようで、「出来上がりが8月終わりか9月初めになりますが‥‥」というお返事を頂いた。もちろんゆっくり待たせて頂きますとも。
サイズ、色、襟の形はいくつかの選択肢から選べるので、女性Mサイズ、ベージュ、スタンドカラーでお願いした(歳をとると真白なシャツカラーよりしっくりくる)。一応参考にと、タマの画像も送った。まあキジトラの猫に見えるなら何でもいいんです。
数日前、予想よりも早く「刺繍できました。問題なければこれからシャツに仕立てます」というメールとともに、刺繍の画像が送られてきた。
わぁ〜、イイ! 送った画像より可愛く出来てるし! でもタマだ。タマの小さい時の感じですよ、これ。
キジトラって案外複雑な色あいなので難しいと思うのだけど、メロングリーンの目の色までしっかり再現されている。さすがプロの技。
そして昨日、完成したシャツが送られてきた。
hirokoさんがブログにアップされていた写真もどうぞ。
上質なリネン生地と丁寧な仕立て、四角っぽい貝ボタンの形やボタン付け糸の色の遊び、後ろ身頃にダーツをとったきれいなシルエット、そして繊細で緻密な刺繍の美しさとクオリティ。胸ポケットから顔を出した猫が生きてるみたいです。
実物を手にして、想像以上のすばらしい仕上がりに感動した(お洗濯やアイロンがけのポイントをプリントアウトしたものも同梱して下さった)。お値段 、送料込みで2万3千円也。決して高くないと思う。
猫アレルギーで飼い猫を手放し萎れていた猫バカにとって、特にツボにはまったのは、猫が小首を傾げて着ている人の胸の鼓動に片耳を立てているかのような感じになっているところ。
別にそう注文したわけではないので、偶々ちょっと捻りを入れて下さったのだろうけど、「子猫の頃のタマが、私の心臓の音を聞いてるシャツだ‥‥」と思い、じわっと来た。病膏肓に入るとはこのことか。
hirokoさんのブログで、8月の間に結構大変な出来事がプライベートで起こっていて、その合間を縫ってこの刺繍をなさっていたということを知った。
家族の問題に翻弄されつつの仕事。でも仕事をしている時は不安を忘れられる。多少は私にも身に覚えがある。ますますこの猫の刺繍のシャツが特別なものに思えてきた。
大切に大切に着たいと思います。