「うい」と「あぴ」

今日の『探偵ナイトスクープ』が面白かった。この番組は視聴者からの調査依頼に「探偵局員」と称するレギュラー陣が応えるもので、人探し、物探しから現地調査、実験など、毎回さまざまな調査のVTRを放映し、最終的に一つの結論を出す。もう20年近くになる人気長寿番組だ。


今日は、「宮崎県では、水を突然かけられた時、咄嗟に『うい』と言いますが、長崎県では『あぴ』と言うらしいです。本当かどうか確かめてください」という調査依頼。


「うい」? 「あぴ」? 
初めて聞いた。
名古屋では、突然水をかけられて咄嗟に出る言葉は特に決まってない。
「ひゃ」「わっ」「きゃ」「ひっ」「つめたっ」‥‥‥ばらばらだ。たぶん東京、大阪でも。
それが宮崎では一律「うい」、長崎では一律「あぴ」なんだと。
ほんときゃ? でーら変わっとるぎゃ。名古屋弁*1


この件の探偵局員は、お笑い芸人の竹山隆範。まず宮崎駅に降り立った竹山は道行く人を呼び止め、
「『探偵ナイトスクープ』という番組です。人が突然の出来事にどう対処するかという調査をしているんですが」
と言って、いきなり水鉄砲でぴゅっと水をかけた。
「ういっ」
ほんとに言ってるー。
発音がはっきり聞き取れない人もいる。
「今、なんと言いましたか?」
「うい」
竹山、感心。


宮崎県に行くまでに、熊本と佐賀に寄った。熊本では「えいちゃ!」、佐賀では「あり!」だった。水を掛けられて咄嗟に出る言葉が、県を跨ぐと変わっている。
ここまできても、竹山は「あぴ」に半信半疑だ。
「言葉の最後が『ぴ』で終わるなんて、変なアイドル以外言わないんですよ」
それは酒井のりぴ〜だぴ。


さて、いよいよ長崎。道行く若い女性を呼び止めて、同じセリフを言って水鉄砲をぴゅっと。
「あっぴ!」
「今、何て言った?」
「あっぴ」
もう一回ぴゅっ。
「あっぴ!」


「あぴ」じゃなくて実際は「あっぴ」だった。可愛い女の子が「あっぴ!」「あっぴ!」言ってて、なんか竹山嬉しそう。高校生男子が「マジあっぴ」と言ってたのが可笑しかった。
「いつからそう言ってますか?」の質問に、皆「幼稚園くらいから」。そりゃそうでしょう、回りの人が皆「あっぴ」と言っているんだから、その中で育ったら、水をかけられた時は誰でも「あっぴ!」と言うようになる。幼稚園児からおじいさんまで、「あっぴ!」である。
「日本全国でそう言ってると思ってた」という街角コメントもあった。


まとめると、突然水をかけられた時に言う言葉は、
宮崎県 うい! 
熊本県 えいちゃ!
佐賀県 あり!
長崎県 あっぴ!
となるようです(県内でも違うところはあるらしい)。


方言はいろいろあるにしても、反射的に出る言葉というのは、わりと全国共通なんじゃないかと漠然と思っていた。誰でもどこでもそう言うもんでしょと。同じ九州の中だけで、これだけバラエティに富んでいたとは‥‥。
使い慣れた言葉ほど無意識に使っているし、咄嗟の言葉などは後で改めて考えてみることもしない。無意識に出てるから。
「あっぴ!」を聞いて、それこそ突然水をかけられたような新鮮な驚きを感じた。

*1:「ほんときゃ?」の語尾は伸ばし気味に上げ、「でーら」は「ら」を思い切り上げ、上げたままで「変わっと」を発音し「るぎゃ」で下げる。