WEB連載更新。「承認」を捨てる女。

WEBスナイパー(18禁サイト)に連載中の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」が、更新されました。
今回は、2002年のアメリカ映画『めぐりあう時間たち』(スティーブン・ダルドリー監督)を取り上げています。


めぐりあう時間たち [DVD]

めぐりあう時間たち [DVD]


ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』を軸にしたこの作品には、20年代、50年代、00年代と、異なる時代を生きる三人の女性が登場します。
実は劇場でロードショーを見た時は、凝った脚本・演出と美しい映像の方に気を取られてしまい、重要なテーマを扱っているのはわかるものの、内容的に今ひとつ強く響いてきませんでした。その後、DVDで再見し、作品の奥行きに魅了されていきました。
テキストでは、「アナ雪」の例の歌への疑問を導入として、数年前に書いた映画のレビューを若干改変、加筆し、私たちは「他者の承認」を捨てても「ありのまま」に生きることができるのか?という問いを立てています。
年齢によっても、見るタイミングによっても、感じることや発見できるものが微妙に違ってきそうなこの映画、私は「4年に一回くらいは見直したい作品リスト」に入れております。


イラストは、最後に50年後のお婆さんの姿で登場した時のローラの顔を中心に描きました。ヴァージニア・ウルフを演じたニコール・キッドマンはリアルな付け鼻で頑張っていましたが、ラストのジュリアン・ムーアも80歳くらいの老女ということで、かなり思い切った老けメイクでした。が、やはり元が美しいので、いくら皺を作ってもどこか40代初めの素顔(この頃ほんとにきれいでしたね)が垣間見える。メンテの行き届いた顔に細かい皺が几帳面に乗っている、というような。
なんとかもっとリアリティを出したいなーと思って描き込んでいったら、本人に怒られそうなくらいの老婆顔になりました。
‥‥‥テキストとともにお楽しみ下さい。


「あなたたちはあちら、わたしはこちら」第九回 「承認」を捨てる女