「シネマの男」第3回は今改めて見たい『グラン・トリノ』

連載「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」、更新されました。
第3回は『グラン・トリノ』を取り上げてます。

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公開当時もあちこちで論じられた話題作ですが、「父」という本連載のテーマに、主人公をめぐる二つの暴力という観点を絡めて書き起こしました。
主人公の選択が英雄的であると同時に悲劇的なのは、そこに明らかに戦争が影を落としているからです。戦争は彼の心的外傷として扱われていますが、全世界でここまで一つの戦争が注視されている現在、改めて見るべき作品だと思います。

 

クリント・イーストウッドのご尊顔のシワをちまちま描き込むのが、楽しかったです。楽しくて描き過ぎて、この当時のご本人より老けてしまったので、少し消したりして調整しました。こんなもんでしょうか‥‥。

テキストでは触れていませんが、犬がいいんですよね。常に主人公に寄り添っていて、最後の登場の仕方も嬉しくなります。
アキ・カウリスマキも”犬がいい”監督ですが、彼の『浮き雲』と『希望のかなた』の犬くらい、『グラン・トリノ』の犬も印象に残ります。

 

次回は、『ビッグ・フィッシュ』(ティム・バートン監督、2003)のあの法螺吹き親父、ではなく愉快なお父さんを取り上げます。回想シーンはユアン・マクレガー、現在シーンはアルバート・フィニーが演じています。テキスト公開は4月16日(土)です。