「シネマの男」第13回は、知的障害者の父親が主人公の『アイ・アム・サム』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第13回は、『アイ・アム・サム』(ジェシー・ネルソン監督、2001)を取り上げています。

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知的障害者の父を演じたショーン・ペンがとにかく秀逸です。どこかジェンダーレスな感じの父親像は、この当時わりと新しかったのではないでしょうか。
彼の娘役のダコタ・ファニングはずるいほどの愛らしさだし、凄腕弁護士を演じたミシェル・ファイファーの派手なキレちらかしに笑ってしまいます。

障害者の描写がやや類型的な嫌いはあり、悪い人は出てこず、ちょっとファンタジーの混じったドラマではありますが、個人の持つ「限界」が多面的な、でも最終的にはポジティブなかたちで描かれている点は好印象。
全編にちりばめられたビートルズナンバーは、いろんなアーティストがカバーしたもので、エンドロールでその名を見つける楽しみもあります。
20年以上前の本作を今回見直して、こんなにほのぼのとした牧歌的な親子ものはもう作れないだろうなとも思いました。

 

さて次回は、『鬼畜』(野村芳太郎監督、1978)を取り上げます。ほのぼの要素なし!岩下志麻が怖い! テキストは、緒方拳が演じたダメな父親をじっくりと見つめる内容になる予定。未見の方は是非配信を検索してご覧ください。