「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第16回は、2018年のイスラエル映画『靴ひも』を取り上げています。
イスラエル・アカデミー賞(Ophir賞)に8部門ノミネートされ、助演男優賞を受賞。さまざまな映画祭で観客賞も獲得している佳作。
題材自体は結構重いのですが、息子ガディ(ネボ・キムヒ)と周囲の人々とのデコボコしながらも微笑ましいコミュニケーションが、ところどころで笑いを誘います。
何と言っても、不器用な父親ルーベンを演じたドヴ・グリックマンが、すごくいいです。そこらにいそうでいない激シブおやじ。イラストを描くのがとても楽しかったですね。ちょっと荒井注が入ってしまいましたけど。ご本人のカッコいい写真も途中に入ってます。
以下、本文から抜粋。
ルーベンの間違いは、罪悪感からどこまでも自分を加害者にし、息子を被害者の位相に留め置いていることだ。父が常に「与え守る立場」、子が常に「与えられ守られる立場」とは限らない。しかしルーベンは、罪の意識からそれが逆転する可能性を考えることが、なかなかできなかった。
ほのぼの系かと思いきや、単に親子のハッピーエンドで締めない結末が秀逸です。父と子の関係というものについて、改めて考えさせられます。
さて次回は、ウィル・スミスが息子と共に出演した『幸せのちから』(ガブリエル・ムッチーノ監督、2006)を取り上げます。ForbesJapanで5月20日(土)18:00の公開です。