『赤ちゃんに乾杯!』の赤ちゃんの位相とは(連載更新されました)

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第23回は、独身の男三人が降って湧いた育児にドタバタする『赤ちゃんに乾杯!』(コリーヌ・セロー監督、1985)を取り上げてます。二年後にアメリカで『スリーメン&ベイビー』としてリメイクされたヒット・コメディ。

forbesjapan.com

 

冒頭はパーティ・シーンですが、幼児の横顔が描かれた絵画が映されている(それを見ている人はいない)ところから始まるのが、なかなか意味深です。
大きな家なのかなと思って見ていると、三人の男性が広いアパルトマンをシェアして住んでいる、ということがわかります。ここで、後々の展開に大きな影響を及ぼす重要な契機がさりげなく描かれるので、要注意。
それにしても、欧米の自宅パーティの場面、いろんな映画でよく見ますが、たくさんの人がリビングやテラスや廊下で飲みながら立ち話してるかと思えば、誰かをくどいていたり、たまに二階のベッドルームでセックスしてたり、カオスだなぁといつも感心します。日本でも六本木ヒルズとかの超高層マンションでは、そういうことが毎晩行われているんでしょうかね‥‥(←想像力が貧困)。

作品に戻ります。ジワジワと助走をつけるように面白くなっていき、お約束だなと思うところもありながらも、麻薬が絡んできてからはサスペンスフルな展開に。いろいろなエピソードをうまく捌いて見せているところは、同監督のこれも大ヒット作『女はみんな生きている』(2001)を思い起こさせます。

マリーという名の赤ちゃんがすごくカワイイ。赤ちゃん俳優は2、3人いる模様。テキスト後半では、ドラマにおける赤ちゃんとは?という考察をしています。

 

さて、連載最終回になります次回は、往年の名作『素晴らしき哉、人生!』(フランク・キャプラ監督、1946)を取り上げます。お楽しみに!