「シネマの男」第九回は『ガラスの城の約束』

「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第九回は、父と娘の愛と葛藤を描いた『ガラスの城の約束』(デスティン・ダニエル・クレットン監督、2017)を取り上げています。ファンタジーものみたいなタイトルですが、実話が原作です。

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過去と現在が交錯する構成。子供たちの成長過程を、それぞれの時代で各々三人の俳優が演じ分けていますが、とても自然です。

ポール・ニューマンマーロン・ブランドの輪郭を足してエド・ハリスの青い目を嵌め込んだような風貌のウディ・ハレルソンが、ユニーク過ぎる父親を演じてます。いい俳優ですね。


パパ大好きっ子で一番のお気に入りだった娘が、成長につれて反骨精神の強い父親を客観的に見るようになり、やがて離反し、彼とはまったく異なる社会的成功者の道を目指す。しかし最後には、父の生き方が自分の中で大切な糧となっていたことを知る‥‥。

タイプはちょっと違うものの、なかなか大変な人だった自分の父との関係の変化をふと思い出すところもあり、身につまされました。

 

終わりの方が若干きれいにまとめ過ぎかなという感がありますが、見直して、この終結に向かう展開は冒頭からの展開に逆さまに対応している、ということを発見し、なるほどと思いました。監督がそう意識して撮ったかどうかは知りませんけどね。

 

【追記】次回は『自転車泥棒』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督、1948)を取り上げます。あまりにも有名な父子物語。10月15日(土)午後6時公開です。