小池百合子

「ウンコ味のカレーかカレー味のウンコを選べと言われてるみたいで、都民は大変だなー」などと人ごとで見ていた東京都知事選のニュースが、ようやく一段落した模様。
インタビューに答える新都知事の映像に、ずっと前、その人についてチラッと書いたことを思い出した。

 〇七年の夏、小池百合子議員が防衛大臣退任の挨拶で、「女子の本懐」という言葉を使ってちょっと話題になったことを覚えている人もいるだろう。「『男子の本懐』があるなら『女子の本懐』もございます」という気張りと、「男社会の政治の世界で大臣にまでなったけれども、やっぱり男どもの画策には敵わなかった」という悔しさと、「女だからって甘く見るなよ。必ず帰ってくるから覚えておけ」という野心が滲み出ていた。同年十月にこのタイトルで本も出しているので、本人としてはかなり狙ったフレーズだったはずである。日本の女性政治家の中では結構「女子力」も高いほうに見える小池議員のことだから、「女子」という言葉を使って自らをアピールした時の効果も計算済みだったと思われる。

(『「女」が邪魔をする』(2009、光文社) 第二章 女子という自意識 より)


当時はそのまま国政にいても総理大臣は無理そうだし、同格の男たちと足を引っ張り合うのも疲れたので、とにかくトップの、上に男が一人もいないポジションに就きたかった、ということなのではないかと想像。胸の拳の硬さが、他の二人とは違った。
小池百合子は「女子力」を使える”男”だ。この社会で女が権力を握るにはコレしかないのかという絶望感。
真綿でやんわりじわじわ首を締めに来るようなあの笑顔は、少し苦手だ。