サイゾーウーマンに連載中の映画レビュー、今回は、新潟の造り酒屋を舞台にした宮尾登美子の小説が原作の『藏』(降旗康雄監督、1995)です。
「文化」という階級が女を苦しめる? 『藏』に見る、女たちが手を取り合う困難さ
母親を失い盲目となった蔵元の一人娘、烈(一色紗英)と、その叔母、佐穂(浅野ゆう子)との疑似母子関係を軸に描かれる本作ですが、レビューでは二人の濃密な関係から弾き出される後妻のせき(夏川結衣)を加えて、異なる文化に属する女性たちの三角関係について考察しました。
公開当時は、浅野ゆう子の評価が高かったと思います。W浅野と言われたトレンディドラマの常連女優のイメージから脱したとも評された演技力。ただこの後、それほど映画で活躍したという印象は個人的にはありません。『大奥』の滝川役のようなコスチュームプレイが嵌る感じはあります。
宮沢りえが降板してヒロインになった一色紗英はなかなか熱演ですが、ビジュアル的にはやはり宮沢りえの方がはまっただろうと想像させてしまうので、少し気の毒。顔が時々「西洋人」に見えるのです。
印象的なのが、芸者上がりの若い後妻を演じた夏川結衣。大正〜昭和初期の着物や、こてを当ててウェーブを作ったヘアスタイルが、とてもよく似合っています。
この後、TBSのテレビドラマ『青い鳥』で豊川悦治と共演し、人気を不動のものに。最近は年相応の貫禄がついて、かつてのはかなげなイメージとは違いますが、大好きな女優です。
イラストとともにお楽しみ下さい。
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