「偶然」に翻弄される女の過酷な運命『題名のない子守唄』(連載、更新されました)

「シネマの女は最後に微笑む」第58回は、ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督の、『題名のない子守唄』(2006)を取り上げています。

 

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2007年のヨーロッパ映画賞とイタリア・アカデミー賞において数々の賞を受賞した佳作。強制売春や子供の売買を行う闇組織から逃げ出した女性のヒューマン・ミステリーです。

性暴力シーンなど残酷な場面があるので日本ではR-15指定ですが、最後まで少しずつ予想を裏切っていく展開に引き込まれます。過去と現在が行き来する脚本も素晴らしい。

 

ヒロインがすがった希望が皮肉にもまったくの偶然であり、偶然によって彼女の行動が決定され運命が翻弄されていくところ、そして喪失の後に思いがけない贈与があるところは、以前取り上げた邦画『よこがお』とも似ています。

ミステリーですので最後の方はボカして書いています。ラストで私は泣きました。