日本とクルドの間で‥‥『マイスモールランド』

お知らせ、遅くなりました。

「映画は世界を映してる」第4回は、埼玉県川口市に住まうクルド難民の家族を見つめた『マイスモールランド』(川和田恵真監督、2022)を取り上げています。

 

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国家を持たないクルド人のトルコでの分離独立闘争、難民化という、私たちにとっては「遠い出来事」が、幼少時に来日したクルド人家族の少女と日本人の少年との一見どこにでもあるような淡い恋に、次第に重い影を落としていくさまが描かれています。
在日クルド人の難しい立場を浮かび上がらせつつ、対立項だけに捉われない視野を提供してくれる佳作です。

もちろん、昨年あたりから特に激しくなってきた川口市市民とクルド人との軋轢、それを巡る意見や立場の対立についても冒頭で書いており、作品では「加害するクルド人」が描かれてないことにも言及してます。その点で、周辺状況への客観性は保っているつもりですが、それでも昨今の状況から、クルド人への理解を促すようなこうした作品を取り上げること自体に反発、批判はあるかもしれません。

 

題材が題材だけに政治的文脈から逃れることはできませんが、それをあえて一旦置いてこの作品を見ると、まず秀逸な青春映画になっていると思います。
在日クルド人の高校生を演じた嵐莉菜の存在感もさることながら、相手役の奥平大兼のナチュラルな演技がとても良い。二人の間の繊細でみずみずしい空気が手に取るように伝わってきます。

ちなみに嵐莉菜は、母親が日本人とドイツ人のハーフ、父親はイラクやロシアにルーツを持つ元イラン人(日本国籍を取得している)で、この作品ではその実の父、妹、弟が「家族」として共演しています。