『舞妓はレディ』を観てきたんどす。



んー、そうどすなぁえ。周防監督ん久々んエンターティメントちゅうことで、期待し過ぎたんかもしれまへん。面白おへんどしたちゅうわけおへんどすけど、昔『Shall we ダンス?』や『シコふんじゃった。』を観た時ん笑いや感動には、残念もって届きまへんどした。なんやらかんやら詰め込み過ぎて、消化不良な印象どす。





若いおなごが慣れへん世界で懸命に頑張り、周囲は厳しくあたたこうそれを見守るちゅう話んオチは最初から見えてますし、タイトルからしいや『マイ・フェア・レディ』んもじりやので、内容はたいがい予想がつきたんどすが、『マイ・フェア・レディ』ほどんドラマには欠けてやはった。おなごん子が初めてんジャンルで頑張る映画は優れたんが結構おますさかい、それらに比べると話が平板どす。

ミュージカル要素も中途半ヘリに感じたんどす。俳優が歌うんへーいんどすけど、途中ん歌も、歌としいや特別魅力的やあらしまへん。あれならベッチャコやけ突然ミュージカルにならはった方がおもろいでっしゃろ。『座頭市』みたいになってしまいるけど。


舞妓はんがテーマでコメディちゅうと、『舞妓Haaaan!!!』(2007)を思い出します。ドタバタどすけどエンターティメントに徹しいややはった。あれん後で、しかも京都ん舞妓はんん日常とか見習いんドキュメンタリーやらなんやらもあいさにテレビで紹介されてますさかい、一般人も知識としいやは知っとる今、舞妓はんを映画にしはるとなると、ばんばん見せ方に工夫が必要になると思うて。

やて、『マイ・フェア・レディ』から借りた方言ん矯正んシーン(ここはちょい笑えた)以外は、普通過ぎるちゅうか既視感がおました。




ロケ場面がえらい少なく、大半がオープンセットでん撮影どす。そんせいか、なんやか舞台劇を観とるようどす。

話んつなぎんテンポや緩急も、あんまりよおへんのどす。冒頭、物語が始まってようやっとタイトルが出るまでん間が、なんやかモッタリしたはる。それがベッチャコん方まで続いとった気がします。おもろいとこはちょこちょこおますんどすけど、そこからスピーディにリズムよう行っておくれやすんに、なっと遅くてキレがあらしまへん。

やて、置屋ん女将(富司純子)が昔を回想しはる場面は感心どしたのどすよ。ファンタジー映画なにゃから、ああゆーアイデアがもっとおした方が楽しいんではおまへんでっしゃろ。


俳優陣は言語学者をやった長谷川博己が、ちょいけったいな雰囲気を醸し出しいやいて、おもろかったどす。もっとけったいやてどもないやったと思うて。それから、厳しい踊りんお師匠はん。かな人、素敵。おべべも素敵。

ヒロインん上白石萌音は、宮崎美子ん若い頃にちびっと似てやはった。それやから、宮崎美子ん顔がずっとちらついてしまいましいや。歌は巧かったことやし舞妓はんで踊る姿も良かったどす。
それにしいやも、小日向文世とか妻夫木聡とか、もったへんくらいぜーたくな使い方しいやおいやしたどすなぁえ。





(感想を検索しいやみると、えらい評判どす。うち、いちゃもんばっかり書き過ぎたでっしゃろか。すんまへん。「かいらしいおなごん子が健気に頑張る心温まる話なんやから素直に観ればええんに」と、感動どした人から怒られそうどすが、うちとしいやはちびっと期待外れやったさかい仕方あらしまへん)。


映画館ん帰りに、”口直し”で『肉体の盛装』(村山新治監督、1964)を借りてきたんどす。やはり京都ん芸妓ん世界を描いてます。

傾きかけた芸子置屋、人が良過ぎて借銭が嵩んでしもた女将、そないおかあちゃんに苛つきもって何人もんおとこしを手玉に取る美貌ん芸妓(佐久間良子ん色気がもん凄い!)、そんいもと(富司純子が初々しい!)と格上ん置屋んぼんとん悲恋。べべ姿でんキャットファイトあり、包丁振り回すおとこしに追われへんシーンあり。
映画としいやは2級かもしれまへんが、ドロ臭く濃ゆいドラマを堪能しいや、やっと心んバランスが取れたんどす。うちん心はやはり汚れとるんどすか‥‥‥。



素人んおなごん子を舞妓はんにする話ん中では、『祇園囃子』(溝口健二監督、1953)が出色どす。超おすすめどすえ!
うちんレビュー→錯綜する権力の充満 - 『祇園囃子』



●付記:今日のテキストはいつものように書いたのを、もんじろう - 言葉・方言変換サイトで京都弁に変換してみました。私は京都弁が喋れませんので、変換後が自然で普通なのかどうかは判断できません。誤変換とわかったところだけ直しています(妻夫木聡を「よめはんムコはん木聡」とか)。京都の方から見ると「ここもあそこもおかしい」かもしれません。
『舞妓はレディ』を観て(聴いて)、京都ことばっていいもんだなと思いました。批判的なことを書いてもなんとなく柔らかく聞こえるような気がします。‥‥‥そないなことあらしまへんか?