Long story short !

だいぶ前に一部の方には春頃とお知らせしていた新刊ですが、六月の刊行になります。もうしばらくお待ちくださいませ。
タイトルはまだ決まっていませんが、たぶん「女」という字が入る予定です。そういう本です。当ブログの「結婚」「性・恋愛」カテゴリーの記事も使っています。



本を書いている人は、だいたいどのくらいの時間で一冊書き上げるのだろうと時々思う。250ページ前後の単行本だと、組み方にもよるが原稿用紙で400枚ちょっとくらいの量。ジャンルにも書き手にもよるから、執筆期間はまちまちか。
どこかに連載していて、それがまとまったら出版という半自動的なかたちもよく見る。評論などで内容的にタイムリーであることが重要視されるものだと、三ヶ月くらいで書いて出さないと商品価値が低くなる場合もある。
2005年の初めに純愛論を書きませんかと言われた時、当初示された執筆期間は半年だった。前年が純愛ブームの年で、なるべく早く出したいという意向があったようだ。とても無理なので最低でも年内は見てほしいと言って、結局翌年の5月に出た。


これまでの二冊は、書き出してから本が出るまでに一年以上かかっている。私の場合、どれだけ頑張っても一日20枚以上は書けない。仮に一日20枚のペースで書いていって、400枚なら単純計算で20日で書き終わることになるが、一週間かかってたった5枚も進まないこともあるし、ほとんど書けずに読み返すだけで終わってしまう日が続くことも。
一日30〜40枚のペースで書いている人もいるのだろう。もしそれが普通なら、私はとてもプロにはなれないなと思う。
もちろんどんなに枚数描いても、大抵後から削ることになる。一冊目の執筆時はそれがなかなかできず、ゲラの段階でバッサバッサと気持ちいいほど削られていた。今でも、書いたものを読み返して「あー冗長、冗長」と自分に言い聞かせないと、思い切って削れない。書くことより削ることのほうが難しい。


授業で見せている映画『ヘドウィグ&ザ・アングリーインチ』の中で、ヘドウィグが性転換手術の失敗を歌うシーンがある。歌の途中で、サイドボーカルのイツハクがキレ気味に「long story short !」とつっこむ。これは背景に、ヘドウィグに対するイツハクの屈折した感情もあってのことなのだが、いつもそこで「私のことだよ」と思ってしまう。
手短かに言え。耳が痛い。冗長さが芸になればいいんだけど。