戦争のトラウマが女にもたらしたもの‥‥『サラエボの花』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする「シネマの女は最後に微笑む」第35回は、『サラエボの花』(ヤスミラ・ジュバニッチ監督2007)。シングルマザーと思春期に入った娘との関係性を通して、90年代前半に起こったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の大き過ぎる傷跡と再生を描く秀作。ベルリン国際映画祭金熊賞をはじめ、世界中の映画祭で数々の賞を獲得しています。


映画で知るボスニア紛争 悲劇と葛藤を超える母娘のストーリー|ForbesJAPAN

 

サラエボの花 [DVD]

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言語や文化を共有する民族間の宗教の対立から始まったボスニア紛争。それを題材にした映画は『ノー・マンズ・ランド』(傑作!)や『ウェルカム・トゥー・サラエボ』など幾つも撮られていますが、日本と直接的な関係性が薄いこともあり、紛争それ自体はほぼ忘れ去られている感があります。当時のセルビア人指導者の裁判という、ちょうどこの映画を取り上げるきっかけがあったので書きました。

 

未見の方へ。母娘の日常を描きつつ、ミステリー的な要素が含まれています。ボスニア紛争で女性達に起こったことを知っている方は、途中でおおよその予想がつくかもしれません。テキストはネタばれには配慮していませんが、出来事の真相を知った上で観ると、細部をより一層深く味わえると思います。
娘のサラを演じたルナ・ミヨヴィッチがボーイッシュでとてもキュートです。