『私のちいさなお葬式』と『タイピスト!』を紹介(連載更新されました)

あけましておめでとうございます。ほとんどweb連載の告知しかしてない本ブログですが、今年もよろしくお願い致します。

年末のバタバタで、またしても先月の最後の告知を忘れておりました。今回も2本まとめてのお知らせです。

 

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一本めは、『私のちいさなお葬式』(ウラジーミル・コット監督、2017)。ロシアの片田舎、余命が短いことを知った老婦人が巻き起こす小さな騒ぎをユーモアたっぷりに描いていますが、徐々に喜劇の枠には収まりきらない重く普遍的なテーマが浮上。

原題は『解凍された鯉』。あの鯉がそうか、こういうことになるのか‥‥とわかった後で、深い余韻を残す素晴らしい作品です。

ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』ロシア版が重要な曲として登場します。歌詞は違っていますが、ロシアでウケたメロディなんですね。なんとなくわかる気が。

外国映画の中で突然日本の曲が流れて驚くというパターンでは、アキ・カウリスマキの『ラヴィ・ド・ボエーム』の最後でかかる『雪の降る街を』があります。あれは日本語そのままで、結構びっくりします。日本のマイナーコードの曲は、北の国の人々のメンタリティにどこかマッチするのかもしれません。

 

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次は、『タイピスト!』(レジス・ロワンサル監督、2012)。1950年代末のパリを舞台に、地方出身のヒロインが「タイプライターの早打ち」で世界一を目指す物語です。

スポ根ドラマとロマンチック・コメディを合わせたような作りで、ストーリー展開はまあお約束ですが、天然で負けず嫌いでチャーミングなヒロインの頑張りと快進撃は、こちらまで元気にさせてくれます。

往年の古き良きロマコメの香り、50年代末のパリのファッションやインテリア、フランスvsアメリカの伏線など、あちこちに楽しめる細部が満載。現代的なスパイスを控えめに振りかけた、懐かしいお菓子を味わう気分でどうぞ。