「親子でもなく姉妹でもなく」第11回目に取り上げるのは、2014年の日本映画『小さいおうち』(山田洋次監督)。以前にここで上げたレビュー記事に加筆し、まとめ直しました。戦前パートの時子とタキの関係性に絞って書いています。
女が本当に好きなのは男ではない? 女同士の淡い同性愛感情を描く『小さいおうち』の幸福 | サイゾーウーマン*1
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現代日本ではほぼなくなったと言ってもいい、奥様と女中の関係性。階級があった時代の権力関係ではあります。
また、劇中で老いたタキが言っているように、当時、都市の中間層以上のお宅に女中として奉公するのは、女学校などに行けない地方の貧しい少女にとっては、「いいとこ」にお嫁に行くための一つのステップアップだったりしました。
でも、私はなんとなく憧れます。身分も教養も自分よりずっと上の、美しく優しい女主人に仕えるという仕事に。そうです、この映画を見ていると、奥様の時子より女中のタキの立場のほうに、圧倒的に感情移入する(もちろん自分には勤まりそうにないが)。
タキはおそらくそこで、異性との関係性より同性との関係性のほうがずっと心地良く幸せに違いないと確信したのです。
しかしこの映画、前もちょっと書きましたがいろいろと不満なところはあり、キャストで言うと男優が今一つです。良かったのは橋爪功、笹野高史くらい。妻夫木聡はなんか微妙にイラッとくる青年を演じていて、それが狙いならまぁ‥‥という感じ。吉岡秀隆、片岡孝太郎は完全にミスキャスト、小林稔侍はヘタクソ、林家正蔵とラサール石井は、別にこの人でなくてもいいよね。
一方、女優は良いです。倍賞千恵子、黒木華、松たか子の好演は言うまでもなく、ちょっとがさつな夏川結衣、おっとりした吉行和子、ズケズケした室井滋、Sっぽい中嶋朋子、田舎者丸出しの松金よね子、皆、それぞれ役に嵌っていました。
「山田組」で撮られている『東京家族』や『家族はつらいよ』などの家族ものは正直苦手で、小津安二郎へのオマージュもいい加減やめてくれという感じですが、『小さいおうち』は原作がしっかりしていることもあり、監督の変な自意識が出てなくてわりと素直に見られます。
というわけで、イラストは松たか子と黒木華です。微笑んでいる顔って難しいですね。松たか子にちょっと松坂慶子が入ってしまいました。
テキストとともにお楽しみ下さい。
女が本当に好きなのは男ではない? 女同士の淡い同性愛感情を描く『小さいおうち』の幸福 | サイゾーウーマン
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