妊娠・出産・子育て映画のリアリティ、『理想の出産』(「シネマの女は最後に微笑む」更新されました)

映画から現代女性の姿をピックアップする連載「シネマの女は最後に微笑む」、第11回がアップされています。


妊娠、出産、子育て 翻弄される心身とパートナー関係の行方 | ForbesJAPAN


今回は、実話を元にした2012年のフランス映画『理想の出産』(原題はUN HEUREUX EVENEMENT、英語ではA HAPPY EVENT)。
男女関係はいかにもフランスらしいところもありつつ、妊産婦の心身の揺れ動き、パートナーとの関係の変化と悩みは、おそらく世界共通のものがあるのだろうなと思わせる作品です。
主人公のモノローグが随時入っており、ハリウッド映画だと「赤ちゃん万歳」な感じをベースにしたドタバタコメディになってしまいそうなところを、当事者目線で真っ向正面から丁寧に、ユーモアも交えて描いている点が好感持てます。R18なのはセックスシーンがそこそこあるからでしょうが、それもきちんとリアリティを出すための演出になってます。


ただ、本文には書いてませんが一点だけ残念なのが、主人公が最後の方で哲学なんか何の役にも立たないと言ってしまうところです。そりゃ妊娠、出産、育児に直接役立つものではないでしょうが、せっかくやってきた学問をそういうふうに否定するのはちょっとな‥‥と思いました。
室内シーンが多いですが、あまり閉塞感はなく映像はなかなかきれいです。経験者も未経験者も面白く観られるのではないでしょうか。


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