オダギリジョーと西島秀俊の絡みが何気に素晴らしい『メゾン・ド・ヒミコ』(連載更新されました)

映画から現代女性の姿をpickupする「シネマの女は最後に微笑む」第49回は、2005年の邦画『メゾン・ド・ヒミコ』(犬童一心監督)を取り上げています。

全体に、ゆったりとした「行間」が取られ、そこで登場人物の心理を想像させるという日本映画らしい作り。やや冗長なところはあるものの、ヘテロの世界とセクマイの世界の人間模様や介護の問題も入って、さまざまな世代の人が登場する作品として楽しめます。

 

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映画祭などのスナップ写真を使用しているこの連載の画像、今回は使えるものがなかった(スチール写真は著作権の関係で無理らしい)ようなので、出ているのは主演の柴咲コウの多分最近の写真です。

この映画では外見的にパッとしない若い女という設定で、劇中何度も「ブス」とか言われるし、頑張って地味に作っているのだけど、元が美人なので実はあまり効果が出ていません。

上司役の西島秀俊が、オダギリジョーに「吉田(柴咲)の彼氏だと思ってましたよ。あいつにしてはいい男捕まえてんなって」と言うけど、いやどう見ても人目を引く美男美女でお似合いだよ、と突っ込み入れたくなります。

 

ただ、田中泯柴咲コウの親子はベストだなぁと思わされます。眉が濃く目力が強いところがそっくり(劇中でも「よく似てるわねぇ」という台詞がある)。

まだ俳優をされる前の舞踏家としての田中泯さんに、昔一度お会いしたことがありますが、カッコよかったですねぇ。この作品でも、病人の役ながら立ち姿がスッとしていてさすがです。

 

私の好きなシーンは、白いスーツのオダギリジョーと黒いスーツの西島秀俊が並んで会話を交わすところ。ゲイの役のオダジョーがノンケの西島に微妙に探りをいれる。西島は淡々と答え、最後に笑い、オダジョーも微笑む。バックは夏の空に入道雲。‥‥なんかいいんだよねあそこ。

一緒に「飯食う」くらいには親しくなったオダジョー演じる春彦と西島秀俊演じる細川の、友情以上恋愛未満のドラマをスピンオフで見たい。

 

この作品、授業で何度も扱っているのですが、あの悪戯中学生を「怒られて改心した良い子」と解釈したり、バス停への道で沙織(柴咲)が泣いた理由が春彦(オダジョー)への恨みや失望だと思ったり、最後の壁の落書きを誰が書いたかわからないという学生が毎年少数ながら出るのが、うーん‥‥と思います。それ、わからないかなぁ。

 

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