母と息子だからこその展開、『母なる証明』(連載更新されました)

「シネマの女は最後に微笑む」第52回は、母と息子の密着関係が背後にある事件を前フリに、韓国映画の秀作『母なる証明』(ポン・ジュノ監督、2009)を取り上げています。

「最後に微笑む」のか???という作品ですので、大まかなストーリーを追いつつもラストはボカしました。

 

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深刻な題材であり悲劇を描いているのに、随所にクスリとなってしまう笑いを挿入している脚本が秀逸ですね。韓国の現代社会への視線も透徹したものを感じさせます。

俳優の演技も素晴らしい。キム・ヘジャはもちろん、難しい役を演じた息子役のウォンビンがとてもいい。母親役のキム・ヘジャじゃなくても「母性愛」をくすぐられる人は多いと思われます。

 

本文終わりの方で「精神的な限界状況に耐えきれなかった彼女の姿を通して」というフレーズを入れたのですが、一文が長くなってしまうので削りました。ネタバレとも関係するところではありますが、あそこまで精力的かつポジティブに息子のために奔走してきた母親の心が、最後の最後で折れてしまうことに、やり切れなさと納得感が交錯します。

 

私は子供がいませんが、母と息子には母と娘とはまた別の、特殊な密着感が生まれやすいのではないかと、この作品で改めて感じています。「母親」という立場の難しさについて考えさせられます。

 

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