料理関係モテエントリ

ところで、素晴らしいエントリを発見した。というか見つけた時には、コメントもブクマもたくさんついてて大盛況。
ある種の会話テンプレート封じ(white_cake氏)


何が素晴らしいかというと、まず出てくる男がいかにも決めつけの激しいイタいタイプで、再現されている会話がマンガみたいで面白い。
そして、そういう会話を打ち切るものとして持ち出される「ベーコン封じ」が、内容もネーミングも面白い。
さらに自家製ベーコンのレシピまでついてて、読んだお得感がある。
一番すごいと思ったのは、こういう下心丸出しの男との会話を、この方が「昔から何十回と無く繰り返して」きたと書かれていることである。
昨日の夕食のメニューを言っただけで家に上がり込もうとする男に、過去何十人も会ってきた‥‥なんというモテ方だろう。あのような会話を何十回もするのは厭だが、正直言ってそこはうらやましかったりして。


独身時代の私など、
「大野さんて料理とかするの?」
「一応してるよ。外食するより安いしお金ないしね」
「あ、そうだよね」
で終わりだった。「家ではどんなもの作ってるの?」なんて、つきあっている男性以外には聞かれたことがない。また聞かれても、「え、今の作品は平面と立体組み合わしたやつで」(美術をやってた)と見当違いの答えをして笑われた。
結婚してからは、
「やっぱり大野さんが料理とか作ってるの?」
「まあ一応。向うの方が仕事忙しいし」
「へえ、大野さんもちゃんとやるんだね。イメージと違うなあ」
で終わり。私が制作時間を確保するために、料理でいかに上手な手抜きをしているのかを、なぜ聞いてくれない。
まあ私にはそんなに関心がないということかね。人妻だし。


件のエントリに戻ると、「ベーコン封じ」まででも充分面白く、「魅力的な人なのね」ということも伝わってくるのだが、その後にきちんとレシピが書いてあって「実際にベーコン手作りする人なのね。すごい」と思わせてくれるところに、またステキオーラが。
それをサバサバした軽快な文章で書いてあるので嫌みがない。才能だ。
私も人につっこんでばかりいないで、こういうモテエントリを書いて、少しでも好感度をアップしたいものだと思う。とりあえずなんか料理関係でなかったかとあれこれ考えたが、人様に言えるようなものはアボカドディップ程度で特に思いつかず残念だ。


いや、一つあった。自家製ベーコンとタメ張れそうなやつが。
それは、自家製味噌。


といっても、別に私が「味噌も手作りしたい!」と発奮したのではなく、夫のお母さんが近所の人と共同で手作り味噌セットというのを購入しており、興味を持った夫が1セット勝手に頼んだのである。大豆1キロと麹1キロがそれぞれ袋に入っていて、作り方が書いてあった。
まず大豆を水に浸して半日置き、それを3〜4時間茹で、熱いうちに擂り鉢ですり潰し、麹と塩と水に混ぜて団子を作り、桶の中に詰めていく。重しをして暗冷所で保存し、半年くらいで熟成して食べごろとなるということだった。
朝、大豆を水に浸けておき、帰ったら作ろうと思った。その日夫は帰りが11時くらいになると言っていたが、私は7時前に帰れるから、それまでにだいたいの仕込みは終わっているだろうと。


ところがそうはいかなかった。
小分けにして茹で上がった大豆から特大の擂り鉢と擂り粉木でゴシゴシと潰し始めたが、なかなか終わらない。茹でた大豆の匂いがムンムンで、なんか吐き気がしてきた。夫が帰ってきた頃にようやくその工程が大半済んだが、今度は潰した大豆に麹と塩と水を混ぜて団子にする作業がまた手間だった。
リビングの真ん中に新聞紙を敷き、その上に大皿を置き、二人でせっせと団子を丸めては並べ、ある程度溜まったら桶に詰めていく。大の大人が夜中にままごとしているみたいだ。すべて完了したのは二時を回っていた。これぞ夜なべの家内工業
半年後にできあがった味噌は結構美味しかったので、夫は翌年もまた作ると言い、私も嫌々それに従った。その年は保存の状態がよくなかったのか天候のせいか、今イチの出来だった。それで二年だけで味噌作りはおしまいになった。
しかし味噌に異常なこだわりをもつ夫は、京都の味噌問屋から五キロ二万円の赤味噌を樽買いし、今のところはずっとそれを使っている。確かにちょっと高いだけあって大変美味しい。ともかく味噌作りは二度としたくない。


‥‥面白くてお得なモテエントリを書く予定だったのに、また失敗した。もう慣れないことはやめよう。