サイゾーウーマンのコラム、更新されました。

サイゾーウーマンで連載中の映画レビュー「親子でもなく姉妹でもなく」第二回がアップされています。


自分の“正しさ”へ導く女×拒む若い女――女の上下関係から見る『モナリザ・スマイル』


今回取り上げているのは『モナリザ・スマイル』(マイク・ニューウェル監督、2003)。
ジェンダー規範バリバリの1950年代、アメリカ東部の名門女子大を舞台にした教師と学生のドラマです。ヒラリー・クリントンの自伝が元になっているようです。
ジェンダー入門を担当する講師としては、身につまされるもののありすぎる内容。私の講義でもレポートに、「女はやはり女らしく控えめにするべきだと思うし、私は早く結婚して専業主婦になりたい」と書いてくる女子、たまにいますので。今に充分通じる作品だと思います。
理想と現実の間で悩む先生役のジュリア・ロバーツ、彼女と対立する有力者の令嬢キルスティン・ダンスト、優等生役のジュリア・スタイルズ。この三人の顔をイラストにしました。


色彩がとても美しく、50年代のファッションも見所です。スカート姿が多いですが、デートから帰ってくるジュリア・スタイルズのベストとワイドパンツのマニッシュな恰好がカッコ良くて、ひときわ印象に残ります。この人のハスキーボイスも、非常に好みです。あと、ファザコン気味の遊び人を演じるマギー・ギレンホールの見せる繊細さがとてもいい。とにかく、女子大生はみんなかわいい。
ジュリア・ロバーツは美術史の講師ですが、講義に出てくる美術作品の扱われ方がテーマと密接に絡み合っていて興味深いです。
内面に歪なものを抱えたマナー(家庭科?)の先生を、マーシャ・ゲイ・ハーデンが演じています。この人は『ミスティック・リバー』での猜疑心にかられた妻とか、『ローラーガールズ・ダイアリー』の抑圧的な母親とか、『ミスト』での狂信的な女とか、神経症的な役が上手いですね。


モナリザ・スマイル [DVD]

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50年代アメリカの若い女性についてのさまざまな統計を紹介する特典映像が面白い。