日韓結婚事情

四天王ヌード

いい加減この話題も飽きてきた頃なのだが、今朝喫茶店で女性セブンを見てしまったので書かないわけにはいかない。あの四天王の上半身ヌードが、グラビアで出ていたのである。
四天王と言ったら、お笑い四天王(古い)でも、多聞天とか広目天とかの四天王(ものすごく古い)でもない、韓国の四天王(ペ・ヨンジュンチャン・ドンゴンウォンビンイ・ビョンホン)に決まっている。


別に私が興奮することもないのだが、少し前の週刊女性に載っていたホストスタイルのうちの4人の裸を掲載した誌面には、御丁寧にもそれぞれの誕生日と身長、体重が記されていた。カラダの描写もより詳細。やはりセブンの方が一枚上手である。


それにしても2ページ見開きを目一杯に使った四天王の上半身ヌードは、かなり目を引く。
ちょうどそのページを開いた時に、コーヒーが運ばれてきたので私は思わず、サッと次のページをめくってしまった。朝からよその国の男の裸に見とれている欲求不満のオバサンだと思われたくなかったのである。たとえ喫茶店のウェイトレスにも。


男のヌードと言えば、今テレビドラマでは『ウォーターボーイズ』放映中で、男の子の水着姿がこれでもかというほど毎回出て来て、眼福として楽しんでいる女も多いらしい。数年前に映画がヒットしてその後ドラマ化され、これで2回目ということなので、よほど若い男の水着姿に需要があるとみえる。
でもガリガリの裸見ても、私は萌えないね。
ペの腕を見たまえ。顔と不釣り合いなくらい太いではないか。日本の男は、グラビアヌードの顔とカラダのギャップを楽しんでいるというのに。あんな貧相な体で喜んでいる感覚が私にはよくわからない。

外れたタガ

話は四天王に戻る。グラビア以上に私が驚いたのは、こんな記事。
ここ最近、韓国人を紹介する結婚相談所に女性の相談が殺到しているらしい。特にこの4月に地上波で冬ソナの放映が始まってからの相談件数が多く、その多くが「ヨン様のようなやさしい人」を希望しているという。
「世界はこんなに美しいのに、あなたは一人で生きて行くのですか」(冬ソナの有名なセリフ)と言ってくれるような韓国人男性を求めているのだとか。
これまでは外資系に勤務するキャリアOLが中心だったが、今は20代から40代まで職種もばらばらで、韓国語すらできない人が多いとか。なのに、 この夏には適当な相手に巡り会いたいという希望が多いとか。


ちょっと待て、落ち着けと言いたくなった。
俳優の追っかけをしたり韓国人ホストクラブに行ったりして、一時の夢物語に浸るのはわかる。でもそれはあくまでイメージの世界。冬ソナだって架空のお話。現実は現実で取っておいて、時々夢に浸ってみるというバランスではなかったのか。
私の専門学校の教え子のキム君(32才)も、「アレは、ファンタジックにつくってありますネー」と言っている。だいたい韓国人であろうと日本人であろうと、「世界はこんなに美しいのに(以下略)」なんて真顔で言い寄ってくる男に、ロクなもんはおらん。イメージにそんなにコロッと騙されてどうする。


別に私が興奮することもないのだが、なにか、タガが外れているという感じが、しみじみとしてきた。
『負け犬の遠吠え』で描かれていた独身女の矜持とプライドは、いったいどこへ行った?と思わざるをえない。

リセット結婚

三高という条件だけで理想の夫と思ってマザコン男と結婚したり、「夢を追っている人だから」という理由でヒモ体質な「だめんず」にハマったりする女は、今までちょくちょくバカにされ笑われてきた。
では、「冬ソナ」に感動し、韓国人男って皆あんなふうじゃないかしらと妄想し、結婚までしようとするのは、どうか。同じだ。それも、イメージとの結婚だから。


しかし考えてみれば、結婚とは常にイメージ先行であった。
DINKSも三高玉の輿も友達婚も女性の親との同居婚も、「これなら幸せになれそう」というおいしそうなイメージと、その「成功者」の体験談と共に登場した。それに近づくため、結婚したい女の「結婚の条件」はどんどん細かくなった。
が、女があまりにも非現実的な条件を並べ立てるので、日本の男の腰は引け気味に。30代結婚したくない男の増加はそれを物語る。もしかすると結婚に関しての男女の思惑が、今程ずれたりこんがらかったりしている時代は、これまでなかったかもしれない。


もう何が理想なのかも考え過ぎてわからなくなったけど、まだ諦めるわけにはいかない‥‥その麻のように乱れた女の結婚願望に、着々と侵入しつつある巨大な韓国ファンタジー。侵略目標はもちろん、理想の結婚を夢見る女。
かつての朝鮮侵略がこんな格好で返されるとは、誰も予想だにしなかっただろう。


相手はいないが結婚したい女は、それまでの自分をリセットしたいという願望があるのだと思う。
「結婚して幸せになりたい」という切実な願いは、結婚前にした数々の失敗や恥をすべて忘れ、できればなかったことにし、「新しい自分」として生まれ変わりたいという欲求の現れでもある。それまでにどんなに人生の累積赤字が溜まっていても、結婚ですべて帳消しにできる。いやできるような気がする。そして子供の一人も産めば、負け犬から勝ち犬にサヨナラの大逆転。
そういうことを、我々は『負け犬の遠吠え』から学んだ。

アジア混血作戦

しかし今や状況は変わりつつある。
相手が日本人では、よほどの超大金持ちかセレブリティでもない限り、「生まれ変われた」実感は与えてもらえない。身の丈に合った相手との現実的な結婚は、よくわかる分だけ何かとアラや舞台裏が最初から見え、興醒めである。 日本の男にもう幻想は抱けない。向こうがこちらに抱けないように。
お互い同じどんよりとした日常の中に居たのだ、ということが、嫌というほど見えてきてしまった昨今。日本人との普通の結婚では、普通の勝ち犬では、もうリセットされないという閉塞感が、「結婚で変わりたい女」を追い詰める。


外国人だと共有しているものが少なく思えるだけに、そのあたり曖昧だ。日本人同士の結婚ではもう先が見えているが、外国人だとまだ一発逆転感がある。かと言って、欧米人はちょっと敷き居が高いような気がするし、第一欧米は遠いし、リセットされ過ぎ。
そこに韓国の男という伏兵がいた。日本人の男に似た親しみやすさと、日本人の男にはない美徳を備えて。韓国人との結婚の肝は、「程よいリセット感」である。


どのみち、イメージとの結婚であった。だったら、日本人でも韓国人でも同じこと。外れたタガを無理に元に戻そうとしても、今更無理であろう。イメージが壊れないうちに、どんどん結婚してしまえばいいのかも。あとは野となれ山となれ。
‥‥‥書いているうちだんだん意見が変わってきた。


そしたら日韓ハーフの子供も次々生まれるだろう。多少は少子化に歯止めがかかるかもしれない。
「日本に行って女と仕事をゲット」が東アジアの合い言葉となり、外国人労働者も一気に増えるかもしれない。
これを契機に、アジア内国際結婚を流行らせればいい。岩井志麻子先生を見習って。どうせもともと「和」とか「日本」とかはなかったんだから。ヨーロッパなんか大昔からそれをやってきたから、今はユーロでまとまろうとしてるし。やっとアジアもヨーロッパに追いつけるというものだ。なんて。


そんなわけで、四天王にはあとしばらく頑張ってもらいたい。四天王が廃れそうになったら、間髪入れず伏兵をどんどん送り込んでもらいたい。植民地にされても文句は言わない。
アジアの未来は君たちの肩にかかっている。